コナサン、ミンバンワ!2017=平成29年6月も、後僅かになった。ようやく梅雨本番の、雨がちの空模様か続く様になり、水害に繋がる程の、余りの大雨はパスだが、真夏の渇水や農業への悪影響を抑える為にも、適度の降雨は必要と心得る。又、行政など関係各位には、これも農業などに悪影響を及ぼす、外来生物抑止の対策も、周到にお願いしたい所であります。
本題へ。「築城三年、落城一日」なる言葉を耳にした事がある。元々は、中世の戦国期にあった、全国諸大名の興亡を表すものだったろうが、これは近現代の、大小企業の興亡にもそのまま当てはまる様に思えてならない。先日、東京地方裁判所宛て民事再生法を申請して事実上倒産、経営破綻した大手自動車部品メーカー タカタ(株)の顛末は、正にそのものだろう。同じく海外事業の失敗から、前期末決算の発表さえできず、折しも時季となった株主総会にて、経営陣が厳しく指弾されている、東芝グループも似た様なものだろうが。
戦前、繊維メーカーとして発足したタカタ(株)が、車の安全を制するシートベルト製造の雄として、世界に君臨して来た事を知る方々は多いだろう。その実績を背景に、近年は、衝突時に乗員の顔を護る エアバッグの主要メーカーとしても実績があった。しかし、米合衆国での死亡事故原因となった事へ隠蔽などが発覚、それに対応した無償製品回収修理 所謂リコール対応が疎かになった事で、国際世論に非難され、関係諸メーカーの需要を失い、今回の事態を招いたと言えよう。以下に、某ネット記事の一部を引用し、簡単な項目を挙げておく。
①タカタのエアバッグで 2000~08=平成12~20年製造分に、破裂に繋がる不具合があった。
②同社は、不具合がある事を認識しながらも、数年間に亘り、事実を隠して製造・販売を続けていた。
③米合衆国で2014=平成26年に同国メディアなどに大きく報じられ、大規模リコールに発展。
④最終的に、負債総額は1兆円超と見られる。
今世紀初、タカタ(株)は、エアバッグ部品の米国拠点での社内試験において、破裂に繋がる兆候が出た結果を隠していた。同社幹部はこの事実を公表せず、問題データを消去、廃棄させていた。同社は当初、この隠蔽工作を否定していたが、同国内だけで10人を超える犠牲を生じ、2015=平成27年初に、現地ユーザー(つまり被害者)多数による集団訴訟が立ち上がると、一転不具合を認めるに至る。この変化の裏には、取引のあった主要日本車メーカーの、自主的なリコール措置があった為だと言われる。米国内での事故賠償総額は、1000億円を大きく超えるとされ、複数の幹部は、詐欺罪で刑事訴追された由。
2015=平成27年下期に入ると、タカタ(株)と取引のあった、主要メーカーの離反が起こり、これらが今回の破綻劇に繋がる事になる。この様になったのは、世界を相手に地球規模の活動をする巨大企業となったにも関わらず、経営中枢が、戦前流の同族企業的体質のままで、株主を含めた「内輪が大事」と言う思考から抜け切れなかった事が、大きくある様だ。経営破綻を告げる、高田社長兼会長の発表姿勢にも、今一当事者意識が欠けている様に見えた、との指摘もある。そうした芳しからぬ姿勢が、製品に大きな問題が起きた時の隠蔽を許し、結果、会社の根底を揺るがし、崩壊させる結果となったのだろう。
かつて、同様のリコール隠蔽問題を生じた、三菱自動車工業や、スバルこと富士重工業らの、苦渋の軌跡から何も学ばなかったのだろうか。或いは「己だけは、自社だけは大丈夫」との、大いなる慢心があったのかも知れない。速いペースで国際化の進む、製造業界のあり様をろくに顧みず、国際社会の、自社を見る厳しい視線を自覚していなかったと見られても仕方ないものがあろう。
タカタ(株)は今後、中国大陸資本も入る、米国企業に事業譲渡して、滋賀県出身の創業者一族は退き、本体はリコール対応に専念の後、数年以内に清算、消滅の運命にある様だ。困るのは、国内雇用が担保される確証が得られていない事と、共産圏たる中国大陸への技術流出懸念だろう。タカタ(株)の経済規模は、我国経済そのものを左右しかねない程、計り知れないレベルであり、東芝問題と共に、進行中の経済政策「アベノミクス」を大きく躓(つまづ)かせる事ともなりかねない。既に経済産業省は、タカタ関連の中小下請け企業の連鎖倒産抑止に動いている様だが、何としても、マイナスを最小にする様、強い対応をお願いしたい。又、自動車メーカー各社も、ユーザーの命を左右しかねないエアバッグのリコール措置については、タカタの責任追及とは別の次元で、誠実な対応を願いたい。
「一事が万事」とは思いたくないが、タカタ(株)の大きな失態は、他の企業や組織でも、絶対にないとは言えないかも知れない。監査や株主総会などで、そうした問題が隠されていないか、強い姿勢での検証が必要かも知れない。これは、我国経済の「これから」を大きく左右しかねない「国家の存亡」に関わる大問題かも知れないのだから。今回画像は、そのタカタ(株)発祥の地、滋賀県下の春先を行く、東海道・山陽新幹線試験列車「ドクター・イエロー」の姿。そう言えば、先日生じた、同線の電気設備事故も、頻繁な検査にも関わらず、予見できなかった。大きな問題が生じる度、どの方面も、確実な「技の更新」を強く望みたい所です。今月の拙ブログは、以上です。