今年5月も最終日となった。ここの所は、特に日中は真夏並みの暑さが続き、梅雨前にも関わらず、早くも熱中症や紫外線への注意を要する有様。もう何度も伝えられている事だが、適度の水分摂取や、余りの長時間日なたに出ない事など、これらの症状への基本的な注意事項を良く把握し、実行したい所であります。
今月は、前述の事が気候面の回顧だが、後は勿論内外共に色んな事共が続いた。まず先日の、九州・口永良部島の噴火。今月初めの箱根山の火山活動に続くもので、最初から危険な火砕流を伴った為、一時島民の方々の安否が気遣われたが、犠牲や重傷者を一人も出さなかったのは幸いだった。ここは昨年も火山活動の履歴があり、その折などの防災訓練が積極的に行われていた事が、今回噴火の折、迅速で安全な全島避難の実現に繋がった様だ。又、非常時の船舶運航のあり様につき、普段より国と自治体レベルで事前協議が行われていた事も、急を要する今回の様な場合には力となった様だ。今度の口永良部島噴火関連の防災活動は、これからの我国各地の防災行動を考える上で、大事な教科書になり得る。農林漁業が主な生業の同島にとって、残された家畜の世話や家財設備の管理などと言った重い課題が残ったのも事実だが、噴火当初の、島民の生命最優先の防災思想と行動は勿論最大限尊重されなければならないし、これから各地で必要になった場合も、不変の基準だろう。それは折しも、昨夜生じた首都圏を中心とする広域地震にての、高層建物よりの避難とか、交通機関の安全管理のあり様を考える上でも、形こそ違え、一定のヒントとなり得るかも知れない。政府与党の対応も、概ね評価できるレベルで、対応の遅かった昔と比べれば好印象だろう。
その政府与党、もう一つ大きなお荷物を抱えているのはご存じの所。例の、安全保障法制が国会審議入りしているが、所謂集団的自衛権行使の考え方などを巡り、両院通過は相当な難儀だろう。まあ旧来の日本国憲法に依拠する安保路線から相当に転換し、例えば緊急時在外邦人救出や、我国が多くを輸入に頼る原油の海上輸送路保安確保など、自衛隊が表に出る場面も確実に増える事だろう。勿論、それに伴う自衛隊各位のリスク抑制も図られなければならないが。日本国憲法による思考だけなら、個別的自衛権=〇、集団的自衛権=×みたいなそれこそ〇×思考も可能かも知れないが、同憲法にしたって、戦後の国際連合憲章の意趣に沿って制定されているのだ。国連憲章は、仮に自国が直接の攻撃に晒されない場合でも、同盟関係国が同様の事態に遭った場合には、やむを得ない事案に限り、原則国会の事前承認を得て、武備を伴う支援活動に限定的に道を開く集団的自衛権の考え方を否定していない。その事は当然ながら、同じ思想で制定された日本国憲法が、第9条と言えども集団的自衛権を全否定するものではないと理解するのが至当である。「戦争放棄」とは、先の大戦の様な、泥沼的に周辺国を不当に巻き込んで、多くの人的犠牲を伴って強行される大戦争の様な事態を否定する事であって、我国の尊厳を大きく損なう様な事態の進行を食い止める様な、正当な最低限の自衛行為まで否定するものではない。
この事に際し、安倍連立政権と野党勢力とは、当然と言えばそうだが、外見上は鋭く対立している・・・様に見える。それが「予定調和」なのかも知れないが。野党各党の質問姿勢は一部を除き、概ね挑発的で、中谷防衛相向けの質問では、特に攻撃的だった様だ。見かねた安倍首相、同防衛相へのフォローのおつもりだったのだろうが、質問議員へ向けた過剰反応が問題視され、謝罪要求も出された様だ。俺も報道で拝見したが、安倍大臣の一連の反応はどうも拙く、野党より「野次」と取られてもやむなしかとも思った。例えば「挑発名人」とも揶揄される、某女性議員の対防衛相質疑の折には「早く質問しろよ!」の様なお言葉がはっきり聞こえた。これは確かに拙い。もしこれが「質問を急ぐ様に!」位にしておけば、相手方も、野次扱いを諦めたのではないだろうか。又、安倍大臣の、難しい見解を迫られた中谷防衛相をフォローし、援護したいお気持ちは分るが、谷垣自民幹事長も仰った様に「各党には、挑発上手な議員もいらすので、そこは気をつけるべき」と言う事だろう。もしこれが、往年の首相だった中曽根康弘さんや東京都知事だった石原慎太郎さんだったら、こんな問題を起こしたりしなかった可能性もありかとも思うのだ。
中谷防衛相は、難しい質問を浴びせられて難渋されていたかも知れないが、そこは大人の対応で「とに角全てを任せる」と言うのがああ言う場面では最善だったのではと心得る。又、同様の問題に直面する岸田外相との連携や調整が上手く行っていたかどうかも、国会対策の見地からも検証する必要がありやしないか。「簡単に挑発には乗らない」方向での反省は必要だし、そう言う面よりの謝罪を早めに行えば、野党側もこれ以上は踏込み難くなるであろう。安倍大臣の善処を宜しくお願いしたいものである。その上で、できるだけ丁寧に、周辺国の理解をも極力得ながら、ゆっくり法制化を目指せば良いのではないか。西日本にて、こうした分野の良き協力者でもある橋下大阪市長が、先般の大阪都構想認否の住民投票で多くの支持を得られず、今任期限りで政界を退く為、これまでの様な助力が得られなくなりそうな所がやや残念だが、橋下さんは政治以外の所で力添えをして下さる予感がするのも事実である。
もう一つ、是非健全な実現を目指して頂きたいのが、納税者番号制度「マイナンバー」。ようやく来年初2016=平成28年1月実施に漕ぎ着けた。これまでは、諸税や社会保険料を巡る不正が横行し、その是正の為の切り札と言われた制度。実施に当たり、情報管理のあり方やセキュリティ確保が厳しく求められるのは事実だが、これまでがザルの様に抜け穴が多く、真面目な納税者等との格差が大きく、不公平税制と言うより、不公正税制の温床とされて来た現状が、ようやく改善へ向けて一歩を踏み出す。実施に伴う行政コスト抑制と並ぶ副次的な効果として、例えば先日、大阪府下にて生じた、心身耗弱者によると言われる殺人事件の様に、容疑者の犯歴を事前に明らかにできる可能性も指摘されている様だ。防犯に向けた、危険人物の把握にも役立つ可能性があろう。既に欧米では一般化していると言われ、我国では個人秘密プライバシーに固執する自称所謂「自由と平和」勢力の妨害によって、その実施が引き延ばされて来た。これ以上の延期は許されない。必要な安全策を施した上、予定通りの実施を望みたいものだ。
後は、W杯開催を巡る利権も絡む、国際サッカー連盟FIFAの巨額な不祥事が遺憾。詳細への踏込みは控えるが、世界中の子供や若者達に夢をもたらす大スポーツ行事の元締めが引き起こした事件だけに、徹底した実態解明と再発の防止に向けた強い取組みが必要だろう。先日の会長選挙にては、ブラッター前会長の続投が決まったが、世界のサッカー愛好者は、FIFAの改善への取組みを、注意して見守るべきだと心得る。最後に、拙趣味で気になる事を一つ。これも先週、九州・佐賀県下のJR線で起きた特急列車の衝突未遂事件。福岡・博多より長崎方面へ向かう下り列車が機器不調の為一旦停止。上り列車との行き違い駅を変更した上再発進するも、新たな行き違い駅の進路が上り列車待機側だったのに下り乗務員が気付き、緊急制動で辛うじて衝突をかわした件。原因は調査中の由だが、世界的高レベルを誇る我国の鉄道にあっては、決して生じてはならない事象であろう。「匠の技」で事故回避に尽力した関係各位のご努力を称えるのは勿論だが、国の関係機関は、是非ともこの事件の原因や詳細を徹底して調査し、再発防止の方策を強力に打ち出して頂きたいものだ。
今回画像は、当地東郊の安城市内で見かけた、初夏に色づいた田園の様子。作物は、多分麦だと思います。背後を過ぎる東海道・山陽新幹線の列車も揃いの「黄色」。あ、これ、設備監査中の試験列車「ドクター・イエロー」ですね。失礼