開会の第 213通常国会は、岸田総理大臣による施政方針演説が 今日午後行われる運び。後述を含む諸事情により、後ろ倒しされていたものだが。
昨年来問題視される、所謂政治資金パーティー販売益還流(キック・バック)問題や 元日生じた能登半島地震こと北陸能登震災向けの救援復興対応などが議題となりそうだが、毎回の事ながら 与野党双方に「何が一番大事か」の価値判断が厳しく求められるのではないか。
主要与党派閥などでパー券販売益をメインに、法令上必要な記載が意図的にされなかった疑いが糾されるべきは事実だが、拙主張を含め 現憲法上も認められた「政治活動の自由」との整合性も図られなければならない。
こうした問題につき、岩井奉信(いわい・ともあき) 日本大学名誉教授より この事共を考える上での大きな指標ともなり得るご見解が示された。以下 昨日の産経新聞ネット記事を引用して、みて参る事に。
「日本大の岩井奉信名誉教授 政治資金問題『与野党は冷静な議論を』」
衆参両院の予算委員会で 1/29、自民党派閥の(政治資金)パーティー収入不記載事件を受けた 政治資金問題に関する集中審議が行われ、「政治とカネ」を巡る国会論戦が始まった。日本大の 岩井奉信名誉教授は産経新聞の取材に対し、疑惑のある議員に説明責任を果たすよう求める一方、「与野党間の冷静な議論が必要」との考えを示した。詳細は次の通り。
「自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、通常国会では与党自民が説明責任を果たすと同時に、政治資金制度改革に関する冷静な議論が求められる。
政治資金の不正処理に対する厳罰化として (当該議員も問責する)連座制の導入が検討される。会計責任者が有罪になった場合、議員にも刑事責任が及ぶ制度だ。ただ 有権者に選ばれた議員を自動的に辞めさせることになるため、会計責任者が立件される基準を明確にするなど 議論には慎重を期すべきだ。
政治責任を巡っては、疑惑のある議員の参考人招致を求める声もある。議事録が取られ、野党の質疑を受ける国会の場で説明責任を果たさなければならない。
また 資金処理の厳格化も必要だ。自民の 党政治刷新本部の中間取りまとめには 政治資金収支報告書のオンライン提出の徹底が示された。
デジタル化による一元的な政治資金の管理と公表は、透明性確保の観点から最重要課題だ。管轄する総務省の内部規則や仕組みの整備を進めるべきだ。また 今回の事件で問題となった 使途の公表義務がない政策活動費は、野党も同様の活動費を運用している。公表義務化の上、公表基準額や党の分配方法などを詰める必要がある。
議論が分かれるのは、企業団体献金の是非だ。現在、企業団体献金の大半が自民に渡り「政治とカネ」の問題が浮上する度に批判の的になるが、立憲民主党など 一部野党にも流れている。野党が唱える企業団体献金の禁止は、聞こえは良いが それが現実的なのかよく考えなければならない。与野党間の冷静な議論の上に、実効性のある制度改革の実現を期待する。」(引用ここまで)
既に知られる様に、当地愛知は旧自民安倍派中、特に高額にして悪質なパー券収入還流を図ったとされる 池田佳隆・元副文科相の地元。生前、還流問題廃止を提起の 亡き安倍元総理の方針に抗って還流続行を主張。同氏急逝後の還流を主導した疑いも持たれ、事実なら「名古屋の、そして東海の恥」と申して良い。こういう悪質な輩ばかりなら、野党複数から声の上がる連座制適用に踏み切って良かろう。
ただ、中には問題の度合いが軽い議員もある事だろう。ここは 岩井先生ご指摘の「有権者に選ばれた議員を自動的に辞めさせることになる」重い所に留意し、政治資金問題が生じた場合の会計責任者立件基準の明確化など 向き合いと取り扱いには慎重を期すべきだろう。
又 野党も関わる政策活動費に安易に踏み込めるのか?との疑問もある。一部でこの経費廃止の主張も聞くが「与党だけの問題ではない」所を見落とすと、それこそ大いなるブーメランとなって降りかかるリスクもあると愚考する者だが。
もう一つ、企業団体献金全禁の主張も現実的とは思えない。過度の不明朗は勿論アウトも、これも与野党双方の問題として むしろ問題解決への知恵を出し合う位の見識があっても良いのではないか。末尾リンクの関連記事に譲る所もあるが、岩井見解の骨子たる「与野党は冷静な議論を」こそが、此度の政治資金問題の望ましい終息への大きな足掛かりとなろう。多くを期待するのは禁物だろうが、果たしてこの「理想」に国会論戦がどこまで歩み寄れるのかも 見ものとは思う。
今回拙記事の末尾に、亡き随筆家・山本夏彦さんが遺された至言を掲げようと思う。このお言葉を 各位がどう感じられるかは自由だが、一方で真実を突いている様に想うのは拙者だけか。「汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす」(この「正義」とは 極左過激派らが喚く「絶対の正義」と思われ)。
今回画像は先日、降雪を突いて当地東海から長野県方面を目指す JR中央本線・燃料貨物便の様子を。今月の拙記事は以上。次回は 2/2以降に掲載予定。以下に 関連記事をリンク致します。「産経新聞 1/29付別記事」