Blog~続・トイレの雑記帳

鉄道画像メインの「ゆる鉄写真ブログ」のつもりでしたが、
政治社会の事共について記したくなり、現在に至ります。

与党議員勉強会言動に関する拙見解

2015-06-28 21:12:14 | 日記・エッセイ・コラム

いかにも梅雨時らしい、不安定な天候が当地愛知にても続く。昨日途中辺りより天候は一旦回復、今日は晴れ間も覗いたが、風の強い一日だった。2015=平成27年6月も後僅か。早一年の折り返し点である。続く下半期もつつがなく日々を送れればとも愚考する次第であります。

先日、昨今の国際情勢を踏まえての、安全保障法制整備に関する与党国会議員による勉強会が開かれたが、その折、特に沖縄県の報道メディア向けと思われる、規制を志向する発言が複数あったのが問題視され、関係議員4名が処分されるに至った。民主党他多くの野党の批判の標的になっている様だ。昨日の地元紙C新聞に、この時の発言要旨が載ったので、以下引用しながら考えて参りたい。尚、同会の当日の講師は「永遠のゼロ」などの著作で知られる作家 百田尚樹(ひゃくた・なおき)さんである。

『沖縄2紙は左翼/マスコミの広告収入なくせ』

改憲を目指す自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」が6/25に同党本部て開いた初会合での報道機関に関する発言の趣旨は以下の通り。主宰する木原 稔衆院議員=党青年局長、講師の百田尚樹氏の冒頭発言はメディアに公開された。その後、百田氏の講演、出席議員による質疑が非公開で行われたが、発言者がマイクを使ったため、発言の多くは室外まで聞こえていた。

百田講師「マスコミの皆さんに言いたい。公正な報道は当たり前だが、日本の国をいかに良くするかという姿勢を持ってほしい。反日とか売国とか、日本を陥れるとしか思えない記事が多い。日本が立派な国になるかということを考えて記事を書いてほしい。

(ここから講演) 政治家は国民に対するアピールが下手だ。難しい法解釈は通じない。気持ちにいかに訴えるかが大事だ。集団的自衛権は一般国民には分からない。自国の兵力では立ち向かえないから、集団的自衛権は必要だ。侵略戦争はしないということで改憲すべきだ。攻められた場合は絶対に守ると言う事を書けばいい。」

(以下質疑) A議員「マスコミを懲らしめるためには、広告料収入をなくせばいい。われわれ政治家、まして安倍首相は言えないことだ。文化人、あるいは民間の方々がマスコミに広告料を払うなんてとんでもないと経済団体連合会(など)に働き掛けてほしい。」

B議員「広告料収入とTVの提供スポンサーにはならないということがマスコミには一番こたえるだろう。」

百田講師「本当に難しい。広告を止めると一般企業も困るところがある。僕は新聞の影響は本当はすごくないと思っている。それよりもTV。広告料ではなく、地上波の既得権をなくしてもらいたい。自由競争なしに50年も60年も続いている。自由競争にすれば、TV局の状況はかなり変わる。ここを総務省にしっかりやって欲しい。」

C議員「沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは、戦後保守の堕落だった。沖縄タイムス、琉球新報の牙城の中で、沖縄世論を正しい方向に持っていくために、どのようなことをするか。左翼勢力らに乗っ取られている現状において、何とか知恵をいただきたい。」

百田講師「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば、目を覚ますはずだが、どうしようもない。(沖縄の基地負担問題は)根が深い。苦労も理解できる。」

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まあ「若手」と言っても、分別盛りの大人の発言とは到底思えない。百田さんと言う、物書きを生業とする言語のプロが居合わせた席だけに、尚更の感がするのも事実だろう。同会を主宰した自民青年局長は事実上更迭され、全員が厳重注意の由。安倍大臣も「大いに遺憾」とされたこの処分、俺も勿論まだ甘いとは思う。最低でも、一定期間の党員資格もしくは活動の停止位は踏み込んでも良かったのではないか。谷垣自民幹事長の仰る様に「報道を批判するに当っても、一定以上の品性を守る事が大変大事」なのである。本音トークだったのは分るが、百田講師を含め、問題の言及をした全員が、その品性を余り顧みていないのは事実だし、(結果としてそうならざるを得ないのだが)一部にせよ報道機関を潰すとか、広告料収入を干し上げるべく経団連に働き掛ける、などの下りは、それは言論封じの意図ありや?と取られても仕方がないわな。

百田さんのご発言「難しい法解釈は通じない。気持ちにいかに訴えるかが大事」の下りは、左傾メディアや左派勢力の側よりは「論理よりは感情が優先する連中」と一方的に取られかねないし、現に沖縄の市民運動組織間では「とんでもない発言」として激昂する動きもあるらしい。まあ、(左傾)社会民主党の有力地盤らしい過剰反応の印象もあるのだが、本土の与党人からすれば、先の大戦中唯一地上戦を経験した沖縄世論には、少し違和感があるのかも知れない。しかしながら安倍大臣以下、与党幹部もそうした沖縄の歴史的側面に最大限配慮すると、少なくとも表向きは言明している以上、その事を尊重しなかった今回の与党勉強会のあり様は大いに遺憾だし、このままでは日本国憲法改正の大志も果たせない。今後くれぐれも再発のない様強い対策が求められる事だろう。

その一方で、かねて報道倫理のあり様が指弾されるメディアの側にも「品性と倫理観」が厳しく求められると言う事だ。先週末、宮根誠司さんが司会の某TV番組中、1997=平成9年に神戸市で生じた、複数の小学生惨殺犯が被害者遺族の了解なしに出版した手記のあり様を巡って、某出演者が「言論表現の自由は残酷なもの。殺人被害者遺族の心情が汲まれなくても仕方がない」などと、(宮根さんが「ちとお待ちを」のフォローをされたにも関わらず)まるで屁糞の様な見解を恥かしげもなく晒し、見ていた俺は「お前が糞なんだよ! 」と大いに憤ったものだが、こんな所にも民間報道の品性のなさが露呈しており、とても「第四の権力」と言われる言論機関の担い手としての自覚などない。同時に、全部とは申さないが、報道メディアの連中には、売上欲しさに国会議員や地方議員の各位以上に、挑発に長けた芳しからぬ「名人」が多いのも事実である。

谷垣自民幹事長は過日「世の中には挑発上手な人物も多くいるので、言動にはそうした事も留意すべき」と言う意味の発言をされていたが、やはり一番の要注意は報道メディアだな、と改めて思う。巧妙にして性悪な出方は形こそ違え、特殊詐欺を働く不良集団や、諸々の悪徳商法を展開する、所謂ブラック企業と良い勝負。露骨な出方をする所が好売上などと言う場合も見られるのが、又々不愉快な所でもある。今回の与党議員勉強会の方々も、そうした所への不愉快さは理解できるが、やはり度を超えたレベルの表現は問題にせざるを得ない。(安易に挑発に乗って、鬱陶しい展開にしない為にも) 百田講師を含め、報道機関潰しとか、広告料収入干し上げなどと言ったダイレクトな言葉遣いは、くれぐれも再考して欲しい。

その事に留意するとしても今の、特に民間の報道人及び報道機関に、真に国益の為に命懸けで活動しようとする気概は見られない。繰り返すが「第四の権力」の担い手としての自覚がないと言う事だ。新聞もTVも、今のままではネット報道との視聴率競争に負け、衰退して行く事だろう。スポンサー確保以前の問題だ。百田さんのご言動も、それを憤ってのものだと言う意図は俺にも良く伝わって来たが、何としても媒体たる言葉の用い方が拙かった。これからも、文学の世界で応援したい方だけに、「失態」になってしまった今度のケースを、これからの糧にして頂きたい。

今回画像は、餓鬼の頃より大いに世話になっている名古屋鉄道の「今の顔」特急車 パノラマ・スーパーの近影。鉄道ファンには良く知られる、同鉄道本社も控える熱田神宮そばの、神宮前駅北詰で捉えました。往年の名車「パノラマカー」の実子と言われ、見晴しの良い眺望は、親分共々「巨視的に、公正に物事を見る事」を教えられた功労車であります。情報によると、今年から経年に見合った更新修繕リニューアルを受ける事が決まった由で、まだまだ元気にやってくれそうなのは喜ばしい事です。

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安全と、規律の間

2015-06-21 11:31:37 | 社会・経済

如何にも梅雨、と言った風情の、本日の当地愛知の空模様。つい先程までやや強い降雨に見舞われていた。午後の予報は曇りだが、一時的な時雨位はあるかも知れない。出かけるには少し朗報だが、何せ日曜日。市街の見所は、中元シーズンともあって、買い物客などで相当に混雑する事を覚悟しなければならなさそうです。

訃報一件。大相撲にて2004=平成16年夏場所まで現役だった元大関 貴ノ浪の音羽山親方が、昨日大阪市内の出先にて急逝された事が分った。約20年前の平成初期の前後、時の横綱 曙、若乃花、貴乃花や大関 魁皇の各力士に伍して大柄な身体と強い投げ技を生かした清々しい取り口には魅了されたものだ。引退間もなく持病の心臓疾患の為、生死が危ぶまれるも、乗り越えた経緯があるだけに、まだ四十代前半の年齢と共に残念。謹んで、哀悼の意を表する次第であります。

さて本題。梅雨入り前の先月後半は、真夏と変わらぬ暑さに見舞われた当地だが、その様な中、当地の主要鉄道線 JR東海道線にて緊急事態があった。5/25日中、進行中の上り快速に乗務中の運転士の体調が急激に悪化、規定通りの非常停止措置を実行の上、救急搬送される由々しき事態となった。原因は熱中症による脱水症状だった由で、救出に当たった車掌も、同様の原因で発症した。運行に当たるJR東海社(以後J海と略す)は、極めて厳格な職場規律で知られ、夏場などは、接客を伴う乗務は新幹線、特急の乗務各位は夏用上着が必着だった様だ。又、水分補給にしても、運転指令の了解をその都度得る必要があり、安全厳守の為の実情と合わない所も生じて来た。拙趣味たる鉄道交通の事共とも縁深く、何が一番大事かを考える良い事例になりそうなので、以下 地元紙C新聞の記事も参照しながら考えてみる事にしたい。

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「J海運転士熱中症~上着不要にゴーサイン 厳格ルール、社内でも不評」

夏を軽装で過ごすクール・ビズは、鉄道業界でも広がっている。JR東日本や同西日本は、夏は半袖にノーネクタイで、年間を通じて「上着を脱ぐのは禁止」というルールはない。名鉄(名古屋鉄道)や近鉄(近畿日本鉄道)も同様。

J海では運転室の水分補給も、今月上旬に運用を見直すまで、指令所の了解が必要だった。乗務終了後に、水を飲んだ時間、場所、理由、乗客の苦情の有無を報告書で提出しなければならず、運転士には「そこまでして飲みたくない」と不評だった。4時間近く水を飲まず運転したことがある運転士は「誰か熱中症で倒れるだろうと思っていた」と打ち明ける。

J海在来線の運転士によると、運転席は「ガラス張りの金魚鉢」のような状態。衣替え前の5月は、陽射しが強いと、冷房があっても上着の下は汗でびっしょりになるという。

柘植(つげ)現社長は「運転士や車掌は、あるべき服装や姿で運転等をしなければいけない。遠い昔はパンを食べ、ジュースを飲みながら運転し、お客様にお叱りを受けた」と説明。規律の乱れが世間の反発を呼んだ国鉄時代の反省を口にした。運転士らに厳しいルールを課してきたことは「運転中の携帯電話がダメなのと同じ。安全に関わるので乗務には専念しなければいけない」と説明していた。

運転士の熱中症報告後、J海には名古屋市民らから意見が10件ほど寄せられた。「水分補給くらいさせてあげて」との声や「クール・ビズにしたらどうか」との提言もあったという。

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この問題を、各位はどうお考えになりますか?先月の記事に接した当初、俺も、当該乗務員は鍛錬不足ではないか?とも思ったものだが、今回記事で考えを変えた。確かに、柘植社長のご見解は、原則論としてはその通りだし、同社が中心に運営される東海道・山陽新幹線を初め在来線の特急、多くの庶民向けの主力商品とも言える快速列車などでは、特に品性のある接客などが強く求められるのは当然だろう。ただ、昨今の気候の異常さも配慮がなされなければ、本当の安全は守れないのではないか。

言われてみて思う事だが、電車を初め 最近の鉄道車両はトラック、バスなどの大型自動車同様窓部分、グラス・エリアが前世代のそれと比べ、明らかに広大になっている。例えば痴漢問題などで車内を明るくする必要もあろうし、乗客サイドよりも、見晴らしの良い方が歓迎される事だろう。しかしながら、最近の車両のそれは、一部を除くと明らかに度が過ぎている様に思うのだ。往年の人気車 名古屋鉄道パノラマカーの例の様に、眺望も魅力なのは事実だが、何よりも安全が最優先されなければならない。JR車も私鉄車でも、どうも窓部分が大きくなり過ぎており、それが反って運転台の、特に夏場の居住性を悪化させている様に思えてならない。少数派だが、名鉄最近の特急車 ミュー・スカイとその一党の窓部分の肥大を抑えた正面デザインは、その面よりは評価されて良い。

もう一つ、乗客サイドより気になるのが、運転中に背後の仕切り窓を全てオープンにしている事が多い点。規則によれば、運転士判断で、運転席背後のシェードは降ろして良く、安全確保の為には乗客より見えなくてもやむを得ないはずだ。その事が、運転台の温度上昇を抑えるのにも有効なら尚更で、基本はそうすべきだろう。乗客の要望があるのかもだが、そうした要求を平然とするのは、親子連れよりはむしろ好い齢をした一部の鉄道マニアによる事が得てしてある様だ。申すまでもないが、鉄道交通は国民市民全体のものであって、一部のものではない。安全優先は重い命題。その為なら敢えて無理な要求には断固応じないのも一つの哲学だろう。

以上、とりとめもなく記して参ったが、最近の気象の異常化は、経営陣などルールを決める側にも不運に作用していると思う。先月なども、5月半ばから、早や真夏の気候となり、これまでの服装の感覚では対応できない状況も増えている。クール・ビズや水分補給の一定合法化など、できるだけ現場の判断に委ねて尊重する方向も顧慮すべきではないかと感じる。柘植J海社長のご見解の様に、過去の反省と、対人時の品性を重んじる姿勢もそれは大切だが、これまでの方法では安全が脅かされる以上、一定の見直しはやはり不可欠だろう。水分補給について言えば、一般社会の認識を変える教育啓蒙も大事。昭和期までは、夏場でも水分を摂るのは「弱者のする事」などの見識が幅を利かしていたものだが、最近の医学的研究成果もあり、一定の水分補給は必須との見方に転換して来ている。ただ、まだ多くに浸透している訳ではなく、電子掲示板などでは未だに「水分補給=弱者」の短絡的見解が目立つ事もある。これらの投稿には、正直嫌がらせ目的まがいのもあって、我々はそう言う意図を真に受けず、冷厳に織り込んで見て参る必要があるのだが、いつの時も「何が一番大事か」と言う事の見極めが必要な事には変わりがないだろう。その事は今、国会にて激論が交わされる安全保障法制の問題でも、同様の事が言えるだろう。

もうすぐ、大相撲名古屋場所。当地愛知も、そろそろ力士の付き人など関係の方々の姿が見え始める時期。画像は一昨年のものですが、今年も変わらぬ盛り上がりを期待したいものです。

 

 

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参院選制度改革 「合区」を躊躇うな

2015-06-14 09:35:08 | 日記・エッセイ・コラム

各位お早うございます。如何にも梅雨らしい、曇り日の朝。気温は低めだが湿度は高く、決して「涼しい」とは言えない今ではある。年金情報漏洩問題は、更に拡大の兆しが見え、北海道を初め、飲酒や暴走行為によると見られる遺憾な交通死亡事故も目立つ。当地愛知でも、「いじめ」絡みと見られる男子中学生の不審死事件などがあった。どの事件も共通するのは、加害側に一握りの用心や、行き過ぎがない様加減する、少しの倫理観と聡明さも見られない事と、被害側にもほんの僅かの警戒心があったれば、とも思われる所だ。勿論、国の制度である年金情報漏洩は例外。加入者個人の秘密保持に全力が尽くされるは当然だが、その為の最低限の措置も実行されていなかった。それらを踏まえるとしても、戦後の「負」の側面は、加害者よりは公を自覚する道徳観念を、被害者よりは己を守る危機意識を奪い去った。その結果の大きな一つが、北海道・砂川にての一家4名が犠牲となった悲劇ではなかったろうか。証拠がある以上、加害者2名は厳重に処分されるべきだが、その背後に、戦後を覆い続けた、便利さ優先の安易な欧米追従の、反日的風潮が横たわっていた事にも留意すべきではないか。勿論、犠牲となった方々には謹んでの弔意を表したい。

さて本題。昨年来国政選挙、特に参院選にての、所謂「一票の格差」問題が大きく取り上げられる様になった。法曹人多数より、この問題を司法の場で審議する様求める動きが活発になり、地裁判決では多くが憲法違反状態、少数だが選挙無効を宣告する判決もあった。一票の格差は、参院選で特に大きいとされ、最大だった平成初期の6倍超程ではないが、前回選挙でも約4.7倍あり、複数の裁判所判例に照らしても、更なる改善が必要であるのは事実だろう。放置すれば、選挙無効判決が増大するのは明らかであり、最悪の場合、巨額の費用を投じての選挙やり直しなどの事態も見込まれるだろう。

各政党も、それぞれに改善案を打ち出してはいるのだが、やはり責任与党・自由民主党の甘さ、タルさが目立つ。同党は、全国の都道府県単位の選挙区を維持しながら、有権者の多少に応じてある程度の選出議員数を加減する「6増6減案」の意向だが、この方法では依然格差4倍を超え、十分な改善とは申せまい。前述の、6倍超の時代が頭にあるので、自由民主党の自己評価では是としたのだろうが。

自民案では到底国民的同意が得られるとは思えぬ一方、連立与党・公明党と第一野党・民主党の改善案は、細部はやや異なるものの、相当な県単位の選挙区の枠を越えて見直す「合区」にも踏み込んだ見直しを行い、一票の格差を2倍以下に抑え込むもの。やや理想論的な所も見え隠れはするが、「本当はこうあるべき」と言う所は見える様な案だ。ただ、現実的には特に自由民主党地方組織の強い抵抗も予想され、すんなり実現とは参りそうにないのが惜しまれる所ではある。社会民主・共産両党が推す「比例代表一本化」や「全国レベルの選挙区ブロック化(11単位にしたいとか)」は殆ど実現の見込みがないので、スルーしておく。

一番の注目は、維新の党が表した「一部合区の10増10減案」だろう。自由民主党の案より更に踏み込んで、有権者の多少に応じての改選数増減を徹底すると共に、特に人口減少の進む島根・鳥取と高知・徳島のそれぞれの県を史上初めて合区し(定員それぞれ1議席)、一票の格差減少を目指すものだ。この案でも格差3倍以内に収まり、倍率はやや後退するも、「初めて合区を行う」事を考えれば現実的と言える。俺は、この維新案を支持するものである。

政権与党・自由民主党が都道府県単位の参院選挙区に拘泥するのは、現状同党が最も恩恵を受けているからで、その言わば「既得権益」を手放したくないのが本音だからと言われる。表向きは「地方の声が良く聞こえる様にしたい」などと美辞麗句を並べてはいるが、やる事はと言えば、多くが国家プロジェクトと言われる大型公共事業の投げ降ろしではなかっただろうか。勿論その全てが成功モデルとは到底言えず、中には九州・諫早湾干拓や当地、東海の長良川河口堰開設などの様に、大きな環境破壊などの負の部分を伴う結果となった案件も多いのである。こんな事が、とても「地方の民意の反映」とは言えまい。しかも、ある程度の合区に踏み切らないと、格差の少ない健全な選挙制度は維持困難との最高裁判決が、遅くとも2013=平成25年には出されているのである。

今、自由民主党は安倍政権の下「一強多弱」とも言われる盤石の態勢を築いている。公明党との連立とは言えだ。冒頭の、年金情報漏洩事件や環太平洋連携問題TPP対応、中韓両国などとの難しい内政外交に亘る諸課題を抱えているのは分るが、維新案による選挙区改革が実行されたとしても、失う議席はたかだか1~2に過ぎず、大勢への影響は微々たるものだろう。それよりも、選挙区見直しの先送りによる、違憲判決や選挙無効判決続出によるマイナス面の方がはるかに大きい。万一にも、選挙無効判決多発により選挙やり直しを余儀なくされた場合の、莫大な出費や政治日程へのダメージの方が深刻であるのは、俺の様な愚者にも容易に分る事だ。

家庭や企業などの組織でもそうだろうが、政治の世界でも、それぞれが少しの犠牲を払い、痛み分けをしなければ回らないのは同じだろう。この問題は、「国益より党益」を優先する印象の自由民主党に、その体質と方向性の変革を迫る良い機会になるだろう。それができなければ、同党と安倍政権の今後には、残念ながら暗影が射す事となりかねないだろう。更に、俺の支持する参議院廃止・国会一院化に勢いがつく可能性もある。どちらにも、困難だからこそ頑張って頂きたい所だが。

 

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日本人は「陥穽(かんせい)」に耐えられるか

2015-06-07 09:35:58 | 日記・エッセイ・コラム

2015=平成27年6月も、宜しくお願い致します。梅雨入り間近を告げる様な曇天の今日。明日午後は外出の予定があるのだが、悪くすると降られそうな気配もする。決して芳しくない事は分るが、まあ拙人生「フラれる」事には慣れているし、梅雨に降雨はつきものなので、相応の準備と覚悟はしておこうと思う。降雨と言う奴、量的には「多過ぎても少な過ぎてもダメ」なものらしい。前者なら水害、後者なら真夏の渇水を覚悟しなければならないからだ。どちらに転んでも、野菜を初め農産物の価格高騰に繋がる所も軽視できないものがあろう。

さて表題。ご存じの様に、国民市民の個人面に関わる情報や、交通面での危機的な問題が相次いでいるのはご存じの通り。日本年金機構の、分っているだけで120万件を超える年金加入者情報の外部流出事件が近年最大のものだろう。主な原因は、外部よりの大規模なサイバー攻撃、具体的には多くのウィルス込み添付ファイルのある電子メール送付に同機構の関係者が気付く事なく開封し、結果、情報用PCやそれを統括するサーバーなどが感染して攻撃側に乗っ取られ、遅くとも先月下旬には、一部のPCが遠隔操作で情報を不正に送信する、所謂「ボット」状態に陥ったのが実態らしい。送付されたメールの題名は、いかにも日本年金機構の業務を装って添付ファイルも安全な様に見せかける巧妙な文面だった様で、攻撃手法が特殊詐欺同様、対応の難しい悪質さを伴っていた事は留意しよう。

ただ、そうであるとしても、日本年金機構の情報保安 セキュリティ対策は、振り返れば大いに杜撰だったと揶揄されても仕方がないのではないだろうか。個人情報の管理利用に際しては、同機構の内規でも必ず個別にPWを設定して保安に万全を期す事が定められていたにも関わらず、流出した情報のほぼ半分弱 50万件以上にこの措置が施されていなかった。これら情報は、一旦外部に晒されれば、当事者本人の意思によらずとも住所変更等ができ、既に年金を受け取っている方であれば、最悪の場合「なりすまし」行為によって、本来の受給者とは異なる人物が受け取るなどと言う事態をも招きかねない。又、最初の異常が見つかったのは先月前半の様だが、この段階で日本年金機構の情報NWを全遮断しておれば、個人情報流出は小規模で防げた可能性がある事も指摘される。恐らくは、年金諸業務の作業能率とコストの見地より、全遮断でなく一部遮断の判断がされたのだろうが、見方を変えれば、それだけ個人情報の重大さと、此度の流出事件の深刻さが自覚されていなかったと言う事だろう。多くの国民市民が「こんな組織に年金業務は任せられない」と憤りを表されるのも頷けると言うものだろう。

塩崎厚労相への報告と、我々国民市民への公表も遅かった。塩崎大臣に対しては、最初の段階から報告が上げられ、以後逐次状況が伝えられていなければならなかったはずであり、そこから我々への告知ももっと早くできたはずだ。それらが適切に実行されていなかったと言う事は、前例のない深刻な事態でも、内部で処理して極力表に出さぬ様仕向ける言わば「隠蔽体質」の様なものがありはしなかったか。同機構の組織は旧社会保険庁時代と大きな変化はなく、上層部には所謂「天下り役員」も少なくないとの報にも接した。今後は速やかに、具体的には今月中旬頃までに、流出事件に該当した方の基礎年金番号を変更すると共に、流出があった事実を当該各位に伝える由だが、事は当事者の人生をも左右しかねない重大事象だ。必要な告知を急ぐと共に、根本的な年金情報の管理運用の見直しと、保安態勢セキュリティの立て直しを、退路を断って真摯に取り組んでもらいたいものだ。折しも、来年初には納税、各種保険などの状況を一元管理できる「マイナンバー制度」が発足する大事な時期だ。その事に国民的不安があってはならない。安倍現政権は、前回の政権が崩壊した直接のきっかけが「消えた年金問題」である事をもう一度自覚し、マイナンバー制度整備の信頼性の事共もしっかり視野に入れて事に当たって頂きたい。些か先走りし過ぎ、見解を求められた3専門家がいずれも違憲の疑いを表された安保法制整備にしても、やむを得ない最低限の所以外は一度保留して引き続き議論する位の配慮があっても良いのではないか。年金情報問題の解決を先行させた方が、政権の安定の為にも好ましいと思うがどうか。

次の話題。先日、那覇空港で生じた、民間旅客機と航空自衛隊ヘリ機とのニアミス事件。離陸許可によらず離陸した空自機が、離陸の態勢に入ったANA旅客機の直前を遮った件。ANA機は急遽離陸中止して緊急停止。間一髪で衝突と人的被害を免れたが、機内は負傷者が生じかねない危険な状況だった様だ。更にANA機が停止した滑走路にはもう1機の旅客機が、着陸やり直し指令が間に合わなかった事もあって着陸。こちらもあわや二重事故となりかねない重大事象であった。

この事象の主な原因は、空自機の機長が、ANA機向けに下された管制の離陸許可を、空自機に向けて下されたと錯覚して発進した為だとされる。ただ、那覇空港は民間と自衛隊が共用する滑走路1本の過密空港の上、無線周波数の民間航空向けと自衛隊向けが同一だった様だ。これは問題視されなければならない。離陸時には、各機長は管制の許可を復唱する義務があるが、同じ周波数なら2機の機長の復唱タイミングが同一なら、混信でどちらの復唱か分らなくなる事態もそれはあり得るだろう。コスト面や管理態勢の事情など難しい面もありはするだろうが、逆から見れば、このままでは時に機密を要する自衛隊機の交信も、民間機の操縦席まで筒抜けと言う事態だって考えられるではないか。この様な大事故を招きかねない事象を機に、民間向けと自衛隊向けに無線周波数を変え、交信の混乱を元から防ぐ位の取り組みがあっても良いと思うのだが。

この他、前回も触れたが、陸上の九州・JR長崎線にあっては、単線行き違い駅にての、上下特急列車の衝突未遂事件もあった。本来あってはならない、一方の列車が待機する線路に対向の列車が誤進入、これも間一髪で衝突を避け得た大変重い事象だが、こちらもまだ詳細が調査中。列車運行システムに何らかの障害があった可能性があり、詳細は調査結果を待ちたいが、それにしても万全と思われる世の中の色んな情報管理システムにも意外に陥穽(落とし穴の意)のある事が分ったこの所であった。果たして、我々日本人はこの状況に耐え、乗り越えて行けるのだろうか。「間違いは絶対に起こらない」の思い込みを越え、ある程度の間違いはあろうとの姿勢を取り、併せて「多少の事は、自の対応で守る」事ができる様になるか、具体的には昨今大韓民国にて流行の兆しがあり、我国にては今の所は防ぎ得ている、肺炎の原因ともなりかねないとされる、コロナ・ウィルスによる中東呼吸器症候群が万一にも上陸した時、好ましい対応ができるか?とか、今、それが問われている様な気がします。

 

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