今月に入り、「降られの日曜日」が続いている様だ。
今朝も雨。つい先程、買い物を兼ねた雑用より戻った所。この記事を書き終えたら昼食を挟み、頂き物の現携帯の画像をPCに取り込める様、処理などを進めようと思う。
引き続き、我国の内外共に事件事故など諸問題多く、身近な所では、有名ホテルや飲食店の食材産地の不適切表示とか、来春には懸案となっている消費税の上方改定問題をも控え、我々国民市民も難しい対応を迫られる所だが、今日は、そうした諸問題の陰で余り報道されないものの、確実に話が進んでいる事に触れようと思う。我国の将来の社会経済を左右しかねない、環太平洋経済連携協定TPP交渉の事である。
今朝の地元紙C新聞に、この問題についての記事が載ったので、以下引用しながら考えてみたく思います。
<TPPが脅かすもの>
環太平洋(経済)連携協定TPPが大詰めを迎えます。遅れて参加した日本は、事前協議などで米(合衆)国への譲歩を繰り返しています。これが国益なのか。
「何が秘密なのかも秘密」。安倍政権が成立を目指す特定秘密保護法案に国民の不安が高まっていますが、TPPも徹底した秘密主義をとっています。内容が漏れれば、参加12ヵ国の妥結に影響が出るからと言って、守秘義務を4年間も強制する異常さです。国民が知らない間に食や農業、医療や保険、教育、雇用、文化まで、生活の基盤が根底から変わる事が決まっていたら大変です。
守れなければ 席を立つ
懸念が、なまじ誇張でないのは、交渉参加を認めてもらう段階から繰り返されてきた、日本政府の譲歩ぶりからです。欧州が輸入禁止している、米国産牛肉の安全基準を緩和したり、かんぽ生命ががん保険に参入せず、そればかりか日本全国の郵便局で、米国保険会社のがん保険販売を請け負ったり、同国の意向を忖度(そんたく)して、軽自動車の増税方針を、日本側が先回りして示す・・。「入口段階」でこんな具合でしたから、本交渉では「さらに・・」と不安が募るのは当然です。
既に与党内からは、「聖域」として関税を維持するとしてきた重要五項目(コメ、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖など)すべてを守ることはできないとの声が出ている。「守るべき国益を追求する」「守れなければ 席を立ってくる」と強弁してきた訳ですから、妥結後に「開けてびっくり」の内容となっている事は、許されるはずがありません。
本来、国の制度とか政策は、国民の命や健康、暮らしを守り、安全・安心な社会を形成するためにあります。しかし、TPP関税引き下げなど貿易ルールだけでなく、暮らしを守ってきた制度も対象とし、言わば「国のかたち」の変更に繋がりかねません。
命か 企業利益かの選択
極端に市場主義が浸透した米合衆国、とりわけ「富の拡大」を目指す1%の勢力にとって、各国の制度は邪魔なものです。そこで同国政府や企業が使うのが、「競争条件を対等にせよ」という決まり文句です。いかにも正論に聞こえる「対等な競争条件」を錦の御旗に、邪魔なルールや制度を徹底的に壊すか、都合よく変えさせる。
「TPPの本質は、市場の強奪です。今の流れでは、日本が大切にしてきた伝統や支え合い社会が崩壊する。『開国』が『壊国』になってしまう」と、鈴木宣弘・東京大学大学院教授(農業経済学)は言います。米国農産物の輸入拡大に、日本の厳しい食品安全基準は邪魔、学校給食の地産地消奨励策も参入障壁だから変えさせよう、という具合に。これは、国民の命か企業利益かを選択する問題です。
ところが安倍内閣総理大臣は「世界で一番、企業が活動しやすい国を目指す」という。規制を緩め、税制を優遇し、外国企業でも思う存分稼ぎやすいように配慮する。それは米国の狙いとピタリ符合してしまいます。
「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)など米国ルポの著作が多いジャーナリスト 堤 未果さんは、TPPに傾斜する日本に、強い危機感を抱いています。2001=平成13年の、9.11中枢同時テロ事件後に同国で成立した「愛国者法」に似て、言論統制法とも言える、特定機密保護法案や企業利益を最優先するなど「米国をなぞるような政策が進行している」と見ます。
米国で何が起こっているかと言えば、刑務所や自治体、立法府まで企業に買われる。巨大化した多国籍企業は、度を越した献金とロビー活動で政治と一体化し、企業寄りの法改正で「障害」を取り除いていく。企業の論理の前には、国民の主権すら蔑ろにされる社会です。堤さんは「もはや企業を無理やり縛ることはできません。米国では、遺伝子組み換えの表示義務がないので不可能ですが、日本は組み換えでない食品を選ぶことができるよう、『国民主権の選択肢』を残す必要がある」と訴えます。
安倍首相は、TPPについて貿易自由化交渉と同時に重要な「安保防衛上の枠組み」との考えを示しています。米国や豪州などと結束し、中国大陸などを牽制する意味合いなのでしょう。しかし、TPPが「仲間」と「仲間外れ」をつくるなら、第二次大戦に繋がった、ブロック経済と同じではないか。関税貿易一般協定GATT体制以前に「先祖返り」しかねません。
国民の幸せこそが国益
国益を守ると言った時、真っ先に考えるべきは、国民の幸せであって欲しい。国民生活を大きく変容させかねない、米国への配慮よりもです。首相の考えと、国民の多くが抱く願いとのズレを感じずにはいられません。
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以上が、今朝のC新聞社説記事の概要です。同新聞は、全国紙Y新聞やS新聞に比べ、左傾していると揶揄されるA新聞的理想論に走る傾向がままあり、少し前の「自由よ のびやかに」などとの題には思わず失笑したものだし、特定機密保護法案についての反応は、まあメディアにありがちな神経質な所を強く感じもするが、今回は概ね良い所を突いているとは思う。まあ報道にありがちな理想論の残滓も感じるけどね。勿論、安倍大臣にも方向性こそ違え、実現見通しに乏しい「世界一企業が活動しやすい国に」と言った理想論が見え隠れする。
ただ、今の米合衆国がより極端な市場志向へと進み、我国が、国として主体的に向き合う姿勢を強く持たなければ、結局は力負けし、これまで我国民が築き上げた幸せや良き秩序を根こそぎ壊してしまう事となりかねないのも事実。TPP問題は、消費税と共に、我々国民市民の日常生活に直結する重大事案として、強く自覚し、時には声を上げて参る必要もある事だろう。
余談だが、米国産牛肉を多用している大手牛丼チェーンのY店は、少し前に、異例の国会敷地内出店を許されている。国会議員諸氏向けの、高価な特別メニューも用意されているらしい。これも、米国寄りTPP政策を志向する、時の政権にすり寄った見返りなのか?興味が持たれる所ではある。