そして勿論、良き社会人でありました。
強い信念と深い見識、そして分け隔てのない情愛の主、Ajariさんが重篤な病を得、急逝されてから早10日が経とうとしています。
私はまだ、深い喪失感の中にいます。当Cafeにてお世話になってから4年近くになりますが、昨夏のTさんに続く知友の訃報。お2人共未だ人生の道半ばだっただけに、本当に悔やまれるものがあるのではないでしょうか。
お2人のご遺族の心情は、誠に察するに余りあるものがあると思います。Ajariさんとの交流は、1年半位の短いものでしたが、とても濃い内容は他の知友の追随を許さぬものがありました。
Tさんもそうでしたが、Ajariさんも周りを思いやる広く美しい心の持主であったと思います。同氏は姉御肌の気質をもお持ちで、多くの知友の良き相談相手になっていらした由。それ故対立者も多く、その気苦労も並大抵ではなかったと思います。
思えば私も、他の知友と思考上の行き違いが生じてしまった時などに、骨折りをして下さってとても有難かった記憶がありますね。又、拙日記の文言につき「穏やかな文体にて、読んでいる方も安らげる」と高い評価を下さっています。拙写真帖の更新も楽しみにして下さり、こちらも深い感謝の意を表する次第であります。
顧みると、此度の不幸に至る兆候はいくつかありました。
昨秋以来Ajariさんは、度々身体の不調を日記記事にて表わしていらっしゃいました。
当地の私とは遠距離故、立ち入った事は同氏のお家の方々にお任せのやむなきとなった訳ですが、失われた今になって考えると、もう少し言葉かけなどで自分なりの努力の余地があったのではないかと、今さらの様に反省の念が湧いて来る次第であります。私の記憶が正しければ、同氏は医療もしくはその関連方面のご職業だったと思います。当然ながらその日常は激務の連続であり、その事へ気遣いが十分とは言えなかった所はあると思います。
今夜の副題の「パヴァーヌ」とは16世紀頃、ヨーロッパにて愛好された宮廷舞曲の一種の事。19世紀末、ヨーロッパを代表する作曲家、M・ラヴェルにより発表された「亡き王女の為のPavane」と言う不朽の名曲があり、これから取ったものであります。
クラシック好きな我が父の愛聴曲の1つであり、色々な思い出を静かに振り返る時に相応しい、品格ある室内楽です。勿論今も、背後より聞えて参ります。
さて、Ajariさんは他の我が知友と共に、多くの秀逸な詩を残して下さいました。その中よりご遺族の許可の下、1遍をご紹介させて頂き、今月の拙日記の締めくくりとさせて頂きます。なお詩は当初無題にて発表されましたので、当欄にては恐れながら、私の判断にてタイトルを冠させて頂きます。
Ajariさん、長い交流は叶いませんでしたが、本当に有難うございました。
さようならは申しません。これからも、彼岸の地よりTさんと共に、どうか我々の行動を見守ってやって下さいませ。
我々も貴方達のご意思を忘れず、日々を生きて参りたく思います。合掌・・・。
詩~再生
広き大地を駆け巡り 広き海を渡り行く
翼を広げ 自由の空へと飛び立つ
それが 新たな命
遠慮のない世界の中で
生への息吹を受けて 再生する
だから 誰も悲しむなかれ
私は・・僕は・・また蘇る
あなたの心の中に 証しだけを残し
新たな世界に再生する
だから・・・悲しむなかれ*(日本)*