はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

「パリ タクシー」(2022年、仏)

2023年04月16日 | 最近見た映画
本作、掛け値無しに面白いです❗️

パリのタクシー運転手のシャルルは46才。金もなく、休みもなく(家族と過ごせる十分な時間もない!)、免停寸前と来て、トドメは医師である兄とも不仲で頼れる人もいないと言う八方塞がり状態で、心は焦るばかりだった。

そこへパリの郊外から配車の依頼。依頼主は御年92才のマダム・マドレーヌ。年齢を感じさせない闊達さとユーモアを持ち合わせた女性だ。

マドレーヌから見れば、シャルルは孫のような年齢。

斯くて、彼女が人生の大半を過ごしたパリの街を、彼女の言うがままに寄り道しながら、シャルルはタクシーを走らせる。

その間、しばしば挟み込まれる彼女の波瀾万丈とも言うべき人生劇場。

次第にシャルルは、人間味溢れる彼女に心を開いて行く…


本作の原題は“Une belle course”、「美しき旅路」です。

スクリーンはエッフェル塔を、ノートルダム大聖堂を、セーヌ川を、オペラ座を、そして凱旋門を映し出して、正に観客である私も共にタクシーに乗ってパリの街並みを眺めているかのようです。

92年と言う人生は、ひとりの女性が社会の荒波に揉まれ、時代の価値観に翻弄された人生でした。

そして苦しみや哀しみも乗り越えて、逞しく生き抜いた人生でもありました。

現代フランス人は王政を倒した市民の末裔として、何より「自由」を重んじると言われますが、物語のそこかしこでそのモットーが発揮され(笑)、日本人である私はその果敢な行動力に小気味良さを感じました。ここで日本人ならたぶん実行を躊躇するだろうな、と思わせる彼らの自由闊達さ(傍若無人さ?)は時に羨ましくもある。

1日だけの、しかし長い長いドライブの間に培われたシャルルとマダム・マドレーヌの”友情”は、後日、意外な形で結実します。

見終わった後にほんわか心が温まり、思わずパリへと誘われる作品☺️。

オススメです❗️

【追記】

マダム・マドレーヌ役のリーヌ・ルノーさんは実年齢を演じておられながら、その年齢を超越した快活さと内面から醸し出される凛とした美しさに、驚嘆せずにはおれません😲。

本職はレジオン・ドヌール勲章も受章された国民的シャンソン歌手なんだそうです。道理で滑舌もしっかりしておられる。

シャルル役のダニー・ブーンさんは聞き覚えのある名前に何度も見かけた顔と思ったら、大人気コメディアンなんですね。

(2023年4月7日より公開)

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