ケンブリッジにて。釘を一本も使わずに架けられたと言う「数学橋」。

「袖振り合うも他(多)生の縁」とは、"人との縁はすべて単なる偶然ではなく、深い因縁によって起こるものだから、どんな出会いも大切にしなければならない"と言う意味で、仏教の教えに根差した考え方ですが、実際に生きていると、さまざまな場面で出会った人との不思議な縁を感じます。
例えば、今回の「ケンブリッジとオックスフォード」日帰りバスツアーには、私達夫婦と同年配のフランス人夫婦、中国人夫婦、若い韓国人や米国人カップル、若い中国人女性二人連れ、私達より年長の英国人夫婦とインド人夫婦、ひとりで参加しているインド人青年、そして、英語圏に移住した中学生の男の子を連れた中国人家族と、その年老いた両親(←英語を話せない。だから孫の男の子は両親とは英語で、祖父母とは中国語で話していました)と言った面々が参加していました。
今回、たまたま世界有数の大学都市ケンブリッジとオックスフォードを訪ねてみたいと思って集った人種も国籍も年齢層も異なる20人余りの人間。出発地であるロンドンで滞在しているホテルも、もちろんバラバラです。
それなのに、ツアーの翌日、大英博物館のメインエントランスではない方の出入り口で、祖父母と息子家族の中国人にばったり遭遇し、翌々日にはフランス人夫婦と同じ地下鉄の車両に乗り合わせ、しかも、ご主人は私達と向かい合わせ、奥さんは私の隣と言う偶然です。
残念だったのは、どちらの方々も私達のことを覚えていなかったこと。中国人家族は私達とすれ違っても気づいた様子はなく、フランス人夫婦に至っては、ツアーの時に私はご主人とは何度か言葉も交わしたのに、再会時に私が話かけても、一向に気づいてくれませんでした(奥さんは英語が全く話せないらしく、ツアー中はご主人がずっと通訳されていました)。
しかし、日時も場所も異なっての思いがけない再会。不思議だなあと思いました。
「二度あることは三度ある」と言いますが、残念ながら三度目はありませんでした(笑)。
今回は上海から来たと言う息子と同い年の女性からバスの中で日本語で声をかけられ、トイレの順番を待っている間しばらく同席しておしゃべりしたこともありました。彼女はジャニーズの亀梨の大ファンで日本が大好きだと言い、独学で学んだと言う日本語で一生懸命話してくれました(日本語に詰まると英語で話してくれたのですが、留学経験はないと言いながらも英語も流暢でした)。
会計士として普段はバリバリ働き、休日には国内外の旅行を楽しんでいるのだとか。今回の英国は既に今年に入って三度目の海外旅行で、パリ、日本の香川県と旅して来たのだと、スマホに保存した各地の写真を見せながら話してくれました。満面の笑顔で「よく働き、よく遊ぶ」と言う彼女に、今では世界の各地で目にする現代中国人のバイタリティの片りんを感じました。
彼女曰く、「本意ではなかったけれど、一生生活に困らないようにと、両親に会計士の仕事を勧められたので、自分は会計士の職に就いた。仕事は大変だけれど確かに収入も良くて、こうして趣味の旅行を存分に楽しめるのが嬉しい。」~ある程度経済的に余裕のある中国の家庭では子どもの教育にとても熱心で、子どもの進路決定にも親が深く関与するのが当たり前なのだとか。
そう言えば、今回の訪問地のケンブリッジやオックスフォードでも、路上を歩く観光客の殆どが中国人の団体か、韓国人の少人数グループでした。中学生の修学旅行と思しき中国人の団体もいて、その教育熱の高さを改めて感じさせられました。
日本はいろいろな意味で、今や中国や韓国に圧倒されていると感じます。それは海外に出ると否応なく突きつけられる事実です。
中韓に限らず伸び盛り、上げ潮の他のアジアの国々に比べ、"斜陽感が半端ない"日本は、今後どこに活路を見出すべきなのか?
事ここに至るまで、国の活力を奪う「少子高齢化」を放置し続け、財政再建や教育改革や知的財産の保護(特に産業技術。日本は技術立国と言いながら、エンジニアを蔑ろにし過ぎ。それが優秀な頭脳の流出を招き、その技術を取り込んだ中韓の躍進を招いた)を怠った政府の責任は重いと思います。
土地所有に関しても、政府が本腰を入れて、行き過ぎた海外からの投資に制限をかけないと、戦争をせずとも国土が他国によって侵略されてしまうでしょう。
オックスフォードにて。映画に出て来るような会食のテーブルセッティング。
