Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

癌も きれちゃうことがある

2008-01-13 | 医療・病気・いのち
切れる

という言葉が新聞紙面を飾る頻度は少し落ちてきましたが
相変わらずどうしてこれくらいのことで…という理由で
人を傷つけたり 殺めたりする事件は後を絶ちませんね

押さえつけられ抑圧されていると
人はどこかで爆発するものかもしれませんが
現代では堪忍袋の緒が随分と弱く貧弱になってきているのかも知れません

癌細胞も押さえつけるときれることがあります
治療に対する反動で一気に反乱を起こしてしまうのです

手術を行った後に
手術前には全く検査で見つからなかった転移巣が
一気に花開くように月単位で出現することがあります
癌を怒らせたという感じです

また抗癌剤を使用して
非常に効果があった場合も
一旦効果がなくなると一気に癌が反攻にに転じ
体中に転移巣が現れてくることがあります

こうなってくると
いわゆる癌を直すための治療というのは不可能となり
患者さんの苦痛を少しでも少なくすることに
多くの力を注ぐことになります

ただ自分の置かれている状況を
どのように受け止めて行くかは
個々人により違うことですし
すべての人にとって初めての経験ですから
マニュアルなんて存在しませんよね

感情とすればそこの所もなんとかお手伝いしてあげたいと思うのですが
何とかできるなんて言うのは医療者の驕りであるように感じます

ターミナルケアの中で決まった方法が最後まで見つからないところ
それは人が死をどう受け止めるかというところなんだろうな
と思います

転失気(てんしき)

2008-01-13 | 医療・病気・いのち
「おならでてますか?」
こんなことを日常生活の中で問われれば
なんと失礼なやつだ
ということになりますが
消化器外科の病棟では普通の挨拶みたいなもの

おならが出れば
腸が活動しており
途中で詰まってもいないということが保証されたわけで
大いばりである

開腹手術の時には
腸が空気に触れるし
お腹の中はごそごそ触られるしで
術後しばらくは腸がびっくりして動かない
数日経ってようやくおならがぶーと出て
良かったねとなる

いろいろな原因で腸が途中で詰まってしまえば
その上流の腸に
消化液やガスが溜まってしまい
お腹がふくれ
おならはでない
いわゆる腸閉塞(糞詰まり)の状態

また腸の炎症や癌のために
腸と膀胱に交通ができてしまうと
腸の中のガスが膀胱に入り
おしっこと一緒にガスが出るという状態になることもある

おならがおしりの穴からでてくる
というのは大変有り難いことなのである

昔 昔の医学用語で
おならのことを転失気(てんしき)と言ったらしい
落語の中で
体調を崩した和尚が医者の往診を受け
「転失気はあるか」と聞かれ
転失気の意味が分からない和尚は
「生憎いまはございません」と答えるという場面がある
無いと言われ医者が調合したのは
大建中湯であろうか
ちなみにこの言葉
漢方医学の古典
「傷寒論」の中に出てくるらしい