Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

1次2次3次

2008-01-20 | 想い・雑感
センター試験が行われていますね
私の頃は存在しなかった制度なので
よく理解しておりませんが
1次試験という位置づけなのでしょうか
それぞれの大学の試験が2次試験かな

就職活動の際もいろいろと試験があるのでしょうね
書類審査
二次審査
三次審査(面接)とかなんとか

最近問題となっている救急医療の場面でもあるんです
それは救急病院の区別
一応1次から3次までの区別があるのです

1次救急:軽症の救急疾患に対応
2次救急:入院を要する患者を受け入れる
3次救急:2次よりさらに重篤な疾患に対応する

その境界線は厳密ではないにしろ
ぼんやりとその言葉の上での区別は分かります
でも実際には
多くの場所で1次も2次も無い状況です

通常1次救急は開業医さんや小病院などで対応するものですが
そのようなところは夜はやっていません
少人数で働いているので当然
夜まで仕事をする事など無理です
私がその立場なら
夜まで働こうなんて思いませんからね

私の住んでいる市では
夜間・休日急患センターが
1次救急の受け入れ先とされています
ところが4~5年前から突然
夜間の営業を23時で終了してしまうことにしてしまったので
結局それ以降1次救急を受け入れるところは無くなりましたし
そのセンター自体の数がもともと少ないので
その時間まででも十分1次救急を見ることのできる体制など
存在していないのです

そうなると
2次救急病院に患者は流れることになります
基本的に入院を要する患者を診る病院で
1次救急を受け入れていると
それに手を取られて
本来の救急搬送対応が不十分になるのはある程度仕方がなくなります
1週間前からの腰痛で夜中の2時3時にやってくる人までいるのですから

1次救急体制をきっちりくみ上げると
かなり救急病院は余裕が出てくると思いますけどね

2次救急病院が十分対応できなくなると
最後の砦である
3次救急病院に負荷がかかることとなり
なかなか次々と救急車を受け入れることなどできなくなります
そして救急車を受け入れられませんということになります

これらは病院の問題ではなく
システムの問題である
ということをしっかり認識する必要がありますね

医療報道

2008-01-20 | 想い・雑感
 昔は腹膜炎を起こせば、かなり重症であり救命が難しいようなイメージがあった。お相撲さんなどが虫垂炎をこじらせ死亡するなどということも、そのイメージを作り上げる要因ともなったであろう。様々な抗生物質が開発、使用されるようになって、ある程度までの腹膜炎は治療できるようになってきた。そのせいか腹膜炎がそれほど怖いものではないかのような印象をもたれはじめているようだが、やはり致死的になることは少なくない。

 消化管穿孔(消化管に穴が開く)は、腹膜炎を引き起こす原因の一つである。消化管と言っても、胃、十二指腸、それに小腸などに比べて、大腸ははるかに多くの細菌が住み着いているので、腸管の下流に行くほど、穿孔の際に重症な腹膜炎になる傾向がある。

 特にS状結腸や直腸の穿孔ということになると、便がそのままお腹の中に出て行くこととなり、手術をし、抗生物質を使い、全身管理をしても救命できないことがある。腹膜炎から、肺血症、敗血症性ショックそして多臓器不全となり死にいたるわけである。

 以上のようなことは、少し調べたり、聞いたりすれば、わかってくることであると思うのだが、調査する努力すらしてないような記者が最近は多いような気がする。身の回りに情報が多すぎて、丁寧に事実を積み上げていくという努力が軽視されているのだろうか。

 最近メディアでは、医療の問題を取り上げることが多い。そんな中、医学的に見て、何が問題なのかわからないような報道が多い。こうしてこうなったのだったら、残念ながら患者さんが死に至るというのは、普通に起こることだなあと思うようなことでも、何か間違いがあったから死に至ったというような書き方をする場合が多い。そのほうが受けると思っているのだろうか。

 私自身、様々な報道を見ていて、こんな取り上げ方をされるのなら、外科なんてやってられないという想いが、年々強くなってくる。同じように考えている外科系(当然産科医も含む)の医師は多いはずである。実際、日本外科学会の会員数はすこし減少傾向である。医師全体の数は増えているのに、である。

 医療の問題を取り上げるのなら、漏れ聞いた情報から記事を書くようなことはしてほしくない。医療問題に精通したデスクを育て、その責任の下で記者に記事を書かせるくらいのことはしてほしいものである。世論の感情に迎合したような記事でなく、事実に基づいた抑制の効いた記事をだしてほしいものである。

 ということで、「医療報道」というカテゴリーを追加することにしました。