Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

順番待ちの間に・・・

2008-01-29 | 医療・病気・いのち
外科の患者さんのなかには
人工呼吸器の装着が必要な方も居られる
術後の呼吸が安定しないかた
呼吸不全を起こしてしまった方などさまざま
私が働き始めた頃
担当患者さんに呼吸器がつけば2、3日は帰らずに病院に泊まれ!
などと先輩にいわれたものだった
随分無茶な話だったと今は思うのだが
当時はそれが当たり前と思っていた
人工呼吸器に今ほどの信頼が無かったというのもあったと思う

ただつきっきりで管理をしたからと言って
それが給料に反映されるわけではなかった
少しでもいい方法がないかを探り
三途の川をわたりかけた患者さんを
何とかこちらの岸へ連れ戻したときの達成感と
患者さんや家族からの感謝の言葉が
その勤務意欲を支えてくれていた

外科を進む道として選んだとき
きついのは先輩をみてわかっていたが
やりがいある道と選択した

しかし今の時代
懸命の努力のあと
結果が悪いといって
簡単に刑事被告人にされてしまう
医学的にみれば
裁判で問題にされていることが
予後に大きな影響を及ぼしたと到底考えられないようなことで
刑事罰が与えられてしまう

このような状況で
今の研修医に外科に来いとは言えない
少なくとも私が今の研修医だったら
外科を選ぶかどうか
自信がない

現在産科救急や小児科診療が問題にされているが
外科も確実にその医療を支える力がなくなってきている
このままでいけば
癌が見つかったからと言ってすぐに手術の順番が来ず
見つかったときにはまだ十分根治手術が可能と思われた人が
順番が来たときには体中に転移巣という事態が
大げさでなくやってくる