Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

拒食症

2008-01-24 | 想い・雑感
 時々カーペンターズのCDを聞く。美しく澄んだメロディーと歌声に心が和む。その歌声の主であるカレン・カーペンターが、拒食症が原因でなくなったことは有名である。一旦は回復したかに思えたが、結局は拒食症から心不全で亡くなった。

 拒食症と聞けば、多くの人は食べさせればいいじゃないか、と思うのだが、無理に食べさせても吐くし、一人にすれば結局食べないので治療はきわめて困難なことが多いようだ。

 また、いよいよ体調が悪くなれば、点滴などで強制的に栄養をつければ良いじゃないかとも思うであろう。しかし、飢餓で衰弱した体は、ある時点を過ぎると、様々な酵素なども枯渇し、いくら栄養を補給しても、体がそれを利用できなくなってしまう。例えば、ラインがずたずたになった工場に、いくら材料が運び込まれても、その工場ではもはや何も作り出せないのと似ている。

 その拒食症という病気について、あるいはその治療の難しさについてなど、今の時代インターネットで検索すれば、かなりの情報が得られる。報道の立場の人は、それくらいの情報収集くらい最低はしてほしいものである。

 以下の報道について、私が疑問に思う点は、

1:2006年の11月の事例が、今になっていくつもの新聞で出るのはなぜか。
2:ニュースタイトルの多くが、搬送の遅れが死亡につながった印象を与えるが、そこには報道の意志が働いているのではないか。報道者はその因果関係を、自分なりに検証したのか。
3:搬送依頼から病院到着までが57分、心停止までが2時間、死亡までが11時間くらい、ということからして、病院到着までが10分であっても、もはや命を維持する術は無かったのではないか。
4:この拒食症患者はそれまで何回も治療を拒否していた点や、状態が悪化すれば死亡することもまれでない点などを鑑み、報道のなすべきことは、拒食症という病気の難しさなどを啓蒙し、医療に問題があるならそこを追求することではないのか。

などという点です。

では、記事の一つをどうぞ。

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7病院受け入れ断られ、拒食症少女が死亡…大阪
 大阪市などで2006年11月、救急搬送された同市都島区の少女(16)が、周辺の7病院に受け入れを断られ、翌朝に死亡していたことがわかった。
 市消防局などによると、11月30日午後10時20分ごろ、少女の意識がもうろうとしているのに母親が気づき119番通報した。
 救急隊の到着時は意識があったが、約1時間後に8番目の大阪府守口市内の病院に搬送されたときには少女はショック状態で、約1時間後に心停止状態となった。
 少女は翌日午前9時ごろ、心不全で死亡した。
 病院側は「搬送の遅れと死亡との因果関係は分からない」としている。
 少女は拒食症で、過去にも救急搬送されたことがあったという。
(2008年1月19日 読売新聞)