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news commentary

団結権の火消しに懸命

2012-05-26 22:20:39 | Weblog

日本は公務員に団結権を与えながら、消防職員をその対象から外している。

公務員の団結権をみとめながら公務員である消防職員には団結権を認めていない国は、いまや日本だけだそうだ。これまで何度もILOから改善勧告を受けている。

今朝5月26日の朝日新聞朝刊によると、おそまきながら総務省がやっと重い腰を上げて、消防職員に団結権を与えるための法改正準備を始めたところ、全国791の消防組織のトップでつくる全国消防長会が、断固反対の抗議書を総務省に出した。

総務省の資料によると、同省の調査で、先進国ではブラジルをのぞく国々が消防職員に団結権を与えていた。イギリス、スウェーデン、オーストラリア・ビクトリア州、フランス(条件付き)にいたっては消防職員に争議権も与えていた。ブラジルが消防職員に団結権を与えていないのは、消防職員は市民サービスに従事する軍人であると憲法に書かれているからだ。

消防組織のトップにいて、職員を管理する消防長にとってみれば、職員に団結権を与えない方が楽チンに決まっている。新聞によると「労働組合を作ったり労働協約を結んだりする権利を与えると、災害の派遣時に労使交渉に手間取り、出動の遅れや命令系統の乱れが生じるおそれがある」と消防長たちは主張したそうだ。

団結権を与えれば出動の遅れや命令系統の乱れが生じる恐れがある、とは恐れ入った。消防職員の職業上のプライドをひどく傷つける発言である。団結権を手にすると、日本の消防職員はイギリスやスウェーデン、フランスの消防士なみにの働きをしなくなる、とその資質を疑っているに等しい。

(2012.5.26 花崎泰雄)

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