Podium

news commentary

お答えいたします/長寿のマントラ

2019-11-28 20:10:07 | Weblog

じゅげむじゅげむごこうのすりきれ……………そもそも桜を見る会は1952年に首相主催の行事として始まったまったもので、各界の功労者の慰労を目的として続いてきました。結果として、今では反社会的勢力の人、選挙カーのウグイス嬢、政治家後援会の皆さま方の参加が増え、選挙目当ての会になっているとのご批判をたまわっていますが、詳細は首相のセキュリティーや参加者の個人情報にかかわるので、詳しいことは控えさせていただきます。また、招待者リストはすでに適正に処分し、電子データも適正に消去し、その復元が可能かどうかについては聞き及んでいませんが、政府としては適正に処理したものと判断し、復元について検討する考えはございません。

かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ…………それにしても、首相や内閣官房長官の盾になって、苦し気に中身のない答弁をお経のように繰り返している政府委員の高級官僚はかわいそうだ。野党委員に、あなたはいらない、私は総理に聞いているのだ、あなたはいらない、と代弁を制止される姿を国会中継で家族の方が見たらほんとうに暗い気持ちになるだろう。ああ、お、お父さんが……。

くうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじ…………安倍首相の妻が桜を見る会の招待者について意見を言ったというご指摘もあるが、首相の妻の意見は首相を通じて首相の意向となり、首相の意向は招待する方々を最終的に決定する内閣府によって内閣府の判断となるのであって、首相とその妻による桜を見る会の私物化という言い方は適切でない。

ぱいぽぱいぽのぱいぽのしゅーりんがんしゅーりんがんのぐーりんだいぐーりんだいのぽんぽこぴーぽんぽこなーのちょうきゅうめいのちょうすけ…………ホテルで開いている安倍晋三後援会主催の桜を見る会前夜祭は、主催者は後援会であるが、会費は参加者がおのおの直接ホテルに支払っており、後援会は金の出入りに関与していない。明細書も領収書もない。安倍晋三首相は夫婦で会合に現れて挨拶し乾杯したが、会費は払っていない。安倍首相は事実上ホスト役をつとめたように見受けられるが、実は、安倍晋三後援会主催の桜を見る会懇親会にゲストとして参加したとみなされる。ロバート・ルイス・スティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』。あれですよ。

なーんだ、もう会期末かぁ。

     (2019.11.27 花崎泰雄)

 

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イギリス議会下院4度目の正直解散

2019-11-10 20:43:30 | Weblog

ヨーロッパ連合(EU)からの離脱をめぐって、この3年ほど政治的漂流を続けてきたイギリス議会下院がついに11月6日に解散した。12月12日投票の総選挙を目指す。ジョンソン政権はそれまで3回にわたって解散の動議を下院に提出したが、ことごとく否決されてきた。4度目の解散動議で、野党労働党が賛成に回ってついに解散が議決された。

イギリスでは、その昔、国王が議会解散権を握っていたが、その伝統が首相に引き継がれ、首相が与党に都合のいいように、恣意的に議会解散と総選挙をおこなってきた。

そういう慣行は時代錯誤だとの批判を受けて、イギリス議会下院は2011年に議会任期固定法を成立させた。この法律によって①内閣不信任決議の可決された場合②下院で3分の2以上の多数で解散を決議した場合を除き、議員の5年間の任期を固定した。

イギリスでは解散はもはや首相の専権事項ではなくなっていたのである。

自動車の道路左側通行と議院内閣制をイギリスにならって採用している日本だが、この時以来、日本国首相の専権事項とされる「解散権」に批判的な意見が目立つようになった。

日本の衆議院は戦後20回以上解散しているが、そのほとんどが「7条解散」である。憲法第7条には、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」とあり、その第3項で「衆議院を解散すること」としている。

これは、内閣が衆議院解散を決断してこれを天皇に告げ、国民の象徴である天皇が国民に告げる儀礼を定めたものである。また、憲法第7条は憲法改正を交付することを天皇の国事行為の一つとしているが、公布にあたっては内閣の助言と承認が必要であり、内閣が助言と承認を行うには、国会での発議と国民の承認が前提になっている(憲法第96条)。

同様の論理をたどれば、第7条にもとづいて衆議院を解散するには、その前提として、衆議院で内閣不信任が可決された場合は、10日以内の衆議院解散か、内閣総辞職をしなければならない、という第69条の条件を満たす必要がある。69条の定めによって内閣が衆議院解散を決意し、これを天皇に告げ、天皇が衆議院解散を発表する手順となる。

かつて、第7条による解散は政府の憲法違反行であると訴訟を起こした例があるが、最高裁判所は「統治行為」であるとして、判断を避けた。国会あるいは国民が判断すべきだという考え方である。だが、統治行為論という重い言葉にふさわしい7条解散はさほど多くなく、多くは首相と与党のご都合による解散だった。それを許したのは、解散は首相の専権事項と与党幹部が音頭を取り、解散権を行使する首相を、印籠を振りかざす誰かさんを見るような何の疑いも持たない、お祭り気分の有権者が多かったからだ。

日本国憲法で政府が衆議院を解散できる条件を定めた条文は69条しかない。論理的に欠陥があり、政治的には恣意的に利用される7条解散であっても、議員たちは議場で「バンザイ」を叫んできた。議席を失う議員たちの悲鳴であり、やけくその叫びだと解されてきたが、それにしても、なぜ、このような7条解散がまかり通っているかといるのだろうか。

大日本帝国憲法の第7条は「天皇ハ帝国議会ヲ招集シ其の7開会閉会及衆議院ノ解散ヲ命ズ」としていた。日本人の心証はここらあたりからまだふっ切れていないのであろう。

(2019.11.10 花崎泰雄)

 

 

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犬好き

2019-11-02 16:01:35 | 国際

トランプ米大統領がISISの指導者アブ・バクル・バグダディ師の死にざまについて、「犬のように死んだ」と大統領の公式ステートメントの中で表現した件は、前回のPodiumで書いた。

イスラム教は豚と犬を不浄として嫌う。何年か前のことだが、マレーシアで「ホットドッグ」という名称は不浄なので、呼び名を変えるべきだという議論がもちあがったことがある。

イスラム教が犬を不浄な動物とみなしていることを知ったうえで、イスラム過激派のバクダディ師の自爆死を「犬のように」と言ったのは、大した罵りである。残る火にアブラを注ぐことにならねばよいのだが。

さてトランプ大統領、今度はそのあざけりの矛先を自国の政治家に向けた。民主党のベト・オルーク前下院議員が2020年の大統領選挙の指名争いから降りたことについて、「犬のように退いた」と揶揄した。

オルーク氏は地元のエルパソの大量殺戮銃撃事件について、トランプ大統領の反移民政策の影響だと非難したことがある。その怨念があって、トランプ氏はオルーク氏を「犬」と呼んで仕返しをしたのだろう。

敵対者に対する人格攻撃は政治の世界ではよくあることだが、これを隠微な手法ではなくて、あっけらかんとやってのけるところがトランプ氏の流儀である。品のない話だが、政治の暗黒面の一部を白日にさらす、虫干し効果もある。

ちなみに、ドナルド・トランプ氏は1946年生まれ、日本流にいえば昭和21年、戌年の生まれである。彼の「犬」「犬」発言とは何の関連もないことではあるが。

 

(2019.11.2 花崎泰雄)

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