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どこ吹く風の暑苦しさ

2024-09-15 19:32:13 | 政治

日本記者クラブが9月14日に自民党総裁選挙9候補の討論会を催した。15日はNHKが恒例の日曜討論番組で、自民党総裁選挙9候補の討論と、そのあと立憲民主党代表選4候補の討論を放送した。いずれも面白くもおかしくもなかった。

自民党の総裁選挙候補は夢物語のような実現可能性の少ない将来展望を語った。例えば「所得倍増」。年間所得が倍になるということは、どういうことか。オーストラリアの最低賃金は2000円超で日本の最低賃金の2倍以上である。オーストラリア人の年間所得は800万円超で、これも日本人の平均所得の2倍近い。「日本人の所得をオーストラリ並みに引き上げたい」と言っているのである。円安の背景もあるが、日本経済はここまで落ちた、と自認しているわけだ。日本の歴代政権の無能ぶりを、どうやって挽回するのか、聞いていた人たちは9月の暑さがこたえたことだろう。

立憲民主党代表選の候補者たちは、自民党総裁選候補捕者たちが派閥の裏金づくりスキャンダルについては発言を極力さけ、かわりに淡い将来展望を振りまいていると批判している。自民党を政権から追い払う、と4候補は声高だが、4人のうち2人がかつての民主党政権の中核だったオールドタイマーだ。

立憲民主党の代表選挙候補者も自民党総裁選挙の候補者の多くも、首班指名のあと間髪を容れず解散・総選挙を実行すると標榜する若手の自民党候補者の論に反対している。岸田文雄氏が総裁のままでは次の総選挙で大敗するという危惧から、岸田氏の総裁続投に反対し、総選挙の看板かけ替えのための総裁選挙をやっているのだから、人品骨柄はさておき、人気者を総裁にたて、新総裁のメッキの剥げないうちに早急に総選挙を済ませて議席減を防ぎたい、という気分のだろう。選挙で負ければ、総裁に責任を取らせ、次の総裁選で機会を狙うだけのことだ。

日本記者クラブの討論会で並んだ自民党総裁選候補者9人をテレビで眺めながら、なんだか就職試験の集団面接を見ているような気がしてきた。異常な暑さのせいだ。

(2024.9.15 花崎泰雄)

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