3月27日の参議院予算委員会での丸川珠代委員と佐川宣寿証人との問答が興味深かった。
文書改ざんについて指示をめぐる問答である(産経ニュース デジタル版から)。
丸川委員「佐川さん、あるいは理財局に対して安倍総理からの指示はありませんでしたね」
佐川氏「ございませんでした」
丸川氏「安倍総理夫人からの指示もありませんでしたね」
佐川氏「ございませんでした」
丸川氏「官房長官、官房副長官、総理秘書官からの指示はありましたか」
佐川氏「ございませんでした」
丸川氏「安倍総理の秘書官からの指示はありましたか」
佐川氏「ございませんでした」
丸川氏「ここまでの証言踏まえますと、まず官邸からの指示はなかったということになります。間違いありませんか」
佐川氏「間違いございません」
佐川証人が歯切れよく答えたのはこの部分だけで、その他肝心の部分は、刑事訴追の恐れを理由に、証言を拒否した。
自民党幹部はこの日の佐川証言で、森友問題に関する安倍政権への疑惑はすっかり晴れたと言っている。野党は反対に、疑惑はますます深まったと言っている。国会前では市民が安倍政権への抗議集会を開いている。政治はこうでなくては面白くない。
27日午前の参議院、午後の衆議院の証人喚問中継を見ていて、佐川氏が自らを悪者にして政治の中枢部にいる人たちを守った、と感じた人は多かっただろう。上ばかり見ているヒラメ官僚の悲哀をひしひしと感じた現職の公務員もいたことだろう。
だが、ヒラメは官僚だけではない。
指示があったかどうか問うにあたっての、国会議員の丸川珠代氏の言葉遣いをよく見ていただきたい。
安倍首相や首相夫人の支持については「ありませんでしたね」と尋ねた。
一方で、官房長官・官房副長官・総理秘書官からの支持については「ありましたか」と尋ねている。
丸川珠代氏は安倍晋三氏と同じ自民党の派閥に属し、安倍首相に引きたてられて大臣のポストを与えられたこともある。
そういうことで、丸川氏の「ありませんでしたね」「ございませんでした」という問答に、ヒラメ官僚とヒラメ議員の面影を見て、なんだかなあ、と思った人が多かったのではないかと推察する。
(2018.3.27 花崎泰雄)