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news commentary

台湾 2022

2022-01-01 00:44:39 | 国際

台北からのニュースでは、台湾の国防当局が12月30日、「全民防衛動員署」を発足させた。中国の侵攻に備えて防衛意識を高めるのが目的だ。米国からの防衛強化の要請に応じた。

米国政府が1979年1月1日に中華人民共和国政府と国交を結び、台湾(中華民国)政府との政府間関係を停止した。この時、米国議会が「台湾関係翁」を可決した。台湾関係法は条約ではなく、米国の国内法なのだが、米国はその中で、米国政府が中華人民共和国を唯一の中国政府として認めたのは、台湾問題を平和的に解決することが前提になっていたからだと述べた。台湾及び西太平洋の平和と安定は米国をはじめ世界の関心事である。平和的な手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、合衆国の重大関心事と考える、と台湾関係法は述べている。

中国では1954年の台湾解放宣言以来、台湾は中国の神聖な領土とされてきた。第2次大戦後の中国内戦で、共産主義勢力に追われた国民党政府が最後におちのびた先が台湾だ。台湾問題は中国内戦の残滓ではあるが、一方で、台湾は領土と2千万を超える国民と立法議会と政府機構を持ち、世界各国と通商関係(少数ながら国交)を持っている国家でもある。中国が台湾解放を唱えて侵攻した場合、その戦争は内戦の再発火なのか、主権国家への侵略なのか、込み入った神学論争になるだろう。

2022年秋には習近平主席の3期目がかかる中国共産党の党大会が開かれる。2022年に入るとすぐ2月には冬季オリンピックがある。そのあと秋の党大会までの間に、台湾侵攻を急ぐような状況はいまのところ想像しにくい。ことを急げば、かえって3期目継続の足を引っ張ることになるだろう。

言われているような中国軍による台湾侵攻があるとすれば、秋の党大会が無事終わったあとだろう。それまでは、専門家を名乗る人々が入れ替わり立ち替わり現れては、台湾危機の予想を増幅させる。日本のチャイナ・ウォッチャーの中には、中国は台湾侵攻と同時に、尖閣諸島、与那国島、石垣島、宮古島などにも上陸しようとしてくるだろう、と予言する者もいる。自衛隊が南西諸島にミサイル基地建設を急いで時期でもあり、桜を見る会の安倍晋三氏が台湾有事は日本の有事と日本国民を脅している。

2022年は台湾の年になりそうだ。

(2022.1.1 花崎泰雄)

 

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