Podium

news commentary

笑うしかないこの二人

2020-04-26 01:32:40 | 政治

注射してはいけない、飲んではいけない。医者も公務員もメーカーも、アメリカ中が大騒ぎしている。民主党の大統領選候補予定者であるバイデン氏は「どうか漂白剤を飲まないで下さい」とツイッターに書き込み、ペロシ下院議長は「共和党員の科学拒否の表れ」と批判した。

もとはと言えば、皆様ご存じのアメリカはホワイトハウスの主の無知な発言から。ホワイトハウスのブリーフィングで、国土安全保障省の科学担当次官補代理が、ウイルスはアルコールや漂白剤に弱い可能性があると説明したのをうけて、アメリカ大統領であるトランプ氏が、消毒剤を人体に注入すればウイルスをやっつけることができるかもしれない、と発言した。

こ発言に全米、全世界が驚愕した。

翌日の記者会見でトランプ氏は、記者諸君に皮肉を込めて言った冗談であると、記者からの追及をかわそうとした。会見に立ち会っていた新型コロナウイルス感染症のホワイトハウス責任者であるペンス副大統領はすぐさま記者会見を打ち切った。

“You are fake news.” 以来、むしゃくしゃすると記者たちに八つ当たりするのがトランプ氏の流儀。それがトランプ支持層に受ける。トランプ氏も彼の支持層の多くも、デモクラシーとコモン・センスを守る番犬役がジャーナリズムの使命であるとする、一部のアメリカのメディアを嫌っている。インテリのスノバクラシーで、鼻持ちならないとして。

トランプ氏に親い日本の安倍首相も、この間、記者会見で質問に立った新聞記者を揶揄した。朝日新聞の記者が不評のアベノマスクについて質問したところ「御社のネットでも布マスクを3300円で販売しておられた。つまり需要も十分ある中で配布した」と、暗にマスク不足で暴利をむさぼっているかのような発言だった。よく言った。あのお高く気取った朝日新聞に強烈なパンチを送ったと、留飲を下げた人たちもいた。

そのあとメディアが、そのマスクが繊維製品の産地である泉佐野市と商工会議所が企画して、老舗の繊維会社が造った手作りの高性能マスクであると報じた。2枚一組の定価が3300であることも明らかにした。黙っていられなくなった泉佐野市長が首相官邸を訪れる事態に発展した。

首相に代わって応対した首相補佐官に、泉佐野市長がこのマスクを使ってみてくれと2組を渡した。補佐官は代価6600円を泉佐野市長に支払った。首相本人ではないが、補佐官が6600円を支払ったということは、それだけの値打ちがあると首相官邸が認めたということである。

ものにはピンとキリがある。酒もそうだし、マスクもそうだし、政治家もまた。

(2020.4.26  花崎泰雄)

 

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10万円

2020-04-20 23:59:48 | 政治

菅義偉官房長官が4月20日の記者会見で、国民1人当たり10万円の一律給付金について、自身が受け取るかどうかを問われ、「常識的には(申請は)しないと思う」と給付金は受け取らないとの意向を示した。(4月20日付朝日新聞夕刊)

ブッキラボーで芸のない返答だねえ。

――10万円の一律給付金はその趣旨を尊重してありがたくいただく。使い道はあらまし決まっている。その4割は新型コロナ感染症で生活が追い込まれている方々の救援に駆け回っている組織に寄付する。次の4割は危機に瀕している医療体制を支えようと奮闘している支援団体に寄付したい。その半分は日本国内の組織に、残り半分は途上国の組織に。私は政治家の端くれで議員でもあるので、公職選挙法で寄付行為は禁じられている。しかし、それは選挙区内でのことで、選挙区外では許されるようだ。この点は選挙管理委員会で確認を取りたい。最後の2割を使って、市場で肉、魚、野菜、豆腐など買って家族と寄せ鍋でも食べて消費喚起のお手伝いをしようかと思っている。秘書や事務所の職員、それに記者の皆さんもお招きしたいところだが、もっかのところ、家族以外の者との大勢の会食は避けなければならいので……。

この程度のことも言えなかったのかねえ。10万円の給付がなくても生活が維持できる層に対して、その10万円を生活困難者への支援、医療支援、生産者・小売業者支援の消費活性化へ向けようと、支援と連帯を呼び掛ける。それが政治家ってもんだろうに。Cool head, but warm heart――Alfred Marshall.

(2020.4.20  花崎泰雄)

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