田村憲久厚生労働相が3月30日、厚労省の職員23人が3月24日に送別会を午前零時直前まで開いていたことを明らかにした。大人数の宴会長時間にわたって開いていたことになり、「国民の皆さまの信用を裏切る形になりました。深くおわび申し上げます」と田村厚労相が謝罪した。朝日新聞の30日付夕刊で読んだ。
報道によると、送別会は介護保険を所管する老健局老人保健課が開いた。老人保健課は30数人の組織で、うち23人が出席した。午後11時まで営業している飲食店を探して予約した。送別会は午後7時ごろから始まり、参加者は順次増えて23人になり、午前零時時直前に終わるまで十数人が残っていた。
田村厚労相氏は、「(花見や歓送迎会、卒業旅行などの自粛をお願いしている役所がこのような失態をさらしたことは大変申し訳ない」「『5、6人(の会食)も控えて』と国民の皆さんにお願いしているにもかかわらず23名という非常に多い宴会、これは許されない」と言葉を強めた、と朝日新聞が伝えた。
新型コロナ対策は難しい。一般市民の健康を守ろうとすると経済活動の足を引っ張る。経済活動を第一に考えると一般市民の感染者が増える。
経済重視なのか、防疫優先なのか。いろんな国がいろいろ試行錯誤している。
だが、厚労省の公務員たちの送別の宴はそのようなレベルでの選択によるものではない。送別会は勤め人の春の恒例行事である。去り行く仲間と飲み食い語るひと時を、コロナ対策を理由に中止することはできなかった。日本の勤め人にとっての職場は多くの場合社交の場でもあるから、長らくにわたって維持してきた美風の維持の習慣が、感染拡大の新しい不安に優先したのであろう。
(2021.3.30 花崎泰雄)