へなちょこの日々

プラナリア飼育記録から始まったブログ。

氷菓 米澤穂信

2012-02-10 14:23:00 | 
ぎっくり腰=じたばたするな、ということで、おとなしく寝ています。

うとうと寝たりもしていますが、昨日までより体調(喘息やら喉やら)もずいぶんよいので、がっつり寝ていられず、本など読んだり。
(その本を取りに行くのがこれまた一苦労)

とりあえず、弟から借りて、通勤で半分読んでた「氷菓」(米澤穂信)が読み終わりました。

なかなか面白かった。
主人公は積極的にあれこれしない「省エネ」少年、折木奉太郎。
海外旅行中の姉からの命令で謎の部活「古典部」に入部したところから、彼の省エネ的生活は少しずつかわりはじめ…

といっても大きな事件が起こるわけではなく。
部員が出会ったちょっと奇妙な「なんで?」を、奉太郎が持ち前の優れた状況判断と勘の良さで解き明かす、連作。

事件そのものは「なあんだ」どころか「ふーん」な感じなんだが、不思議と読ませる。
それは高校生が語り手とは思えぬ独特の言い回しの文体と、個性豊かで憎めないキャラクターがなせる技だろう。

登場人物は「こんな高校生、いねーよ」と言いたくなる、まるで70年代のスクール漫画に出てくるような古風なキャラクター。
でもそれが嫌みではなく、作風と合ってさらりと馴染む。

主人公の奉太郎自身が探偵役としてはかなり異質で巻き込まれ型。
仕方なく推理して、解決しても誇らしげでもない。
これで厭世的ならネガティブで暗い感じになるが、彼はただただ「省エネ」。
そこが風変わりな主人公に好感を持たせているャCントかな。

続編も出ているそうなので、また買いに行こうっと。
…腰が治ったら、ね。



弱り目に…

2012-02-10 09:00:00 | ノンジャンル
今日はちょっと声も出るようになって、さあ出勤しようと支度をしていたら、咳をしたひょうしに腰をぐきっと

うわ~、なんたる間抜け。
くしゃみでぎっくり腰、は用心してたけど、まさか咳でなるとは。

とにかく医者に行こうにも、着替えができないんでどうしたもんかと。
ためしにそーっと歩いてみたら、3センチの段差で四苦八苦。
だめだこりゃ~


米澤穂信2冊

2012-02-05 20:14:00 | 
今度は小説です。
これは通勤でちまちま読んでいました。

まずは米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」新潮文庫。
弟に勧められて読みました。
ミステリーなんて読むの何年ぶりか・・・という状況でトライした本作。
いずれも近代資本家のお館が舞台になっている連作なのですが、
浮世離れした舞台設定もすんなり入ってくる独特の文体に引き付けられます。

どれもラストに背筋がひやりとする、背徳的などんでん返しがあるのですが、
なかでも3作目「山荘秘聞」の叙述トリックは秀逸。


この本を読んで、もっと米澤穂信作品が読みたい!
と買ってきたのが「ボトルネック」。
「儚い~」とは設定も文体もがらりと変わり、ネガティブ少年が「もしも」の世界にとばされる、というSFなんだが・・・

本当に同じ作者が書いたの? とうたがいたくなる作品でした。
話に救いがない。それだけならまだしも、
「で?」っていう・・・
展開はそこそこ読ませる作品なのに。
鬱ラストがいやなんじゃなくて…結局なんだったの?ていう結末が。
一言で言うと「不毛」。


「儚い羊たちの祝宴」が★5つなら、
「ボトルネック」は★2つかな。
これだけ良くも悪くも安定感のない作家も珍しいもんだ。

only you-翔べない翼-末次由紀

2012-02-05 18:37:00 | 漫画
軽い風邪となめていたら、どうにも回復が思わしくない。
熱は出てないから、明日の仕事には響かないだろうけど。
てことで、1日ごろごろしながら、昨日も今日も漫画(レンタル)や本を読んでいます。

レンタル漫画は、また25冊ほど、いろいろ借りてみたのですが。
「黒執事」は失敗…。
全巻借りなくて良かったわー。
チート系無敵格闘しもべ漫画は「ヘルシング」に任せておくべきだね。



それでは本題、末次由紀「only you」。

「ちはやふる」の作者が、90年代後半に書いた長編です。
「目が見えなかった過去を持つやさしい少女ともてあました超能力に悩む少年」の恋愛物。
設定はSFチックなのですが、無理な設定も自然に受け入れられるのは、
漫画の本当のテーマはスマートにわかりやすく「人と人とのつながり」や「愛」についてだからなのでしょうか。

一気に読んでしまいました。
結末がなんとも急ぎすぎた感じがするけれど、まあここしか落としどころはなかったのかなーとも思うから、このラストがベストなんでしょうね。

2巻のおまけコーナーで
“担当さんに「末次さんはこんなに明るいのに書く作品はどうしてこんなに悲しいのが多いんだろう」って言われたことがあります。”
と作者が書いていますが、きっと作者はただ明るいだけでなく、若いころからいろいろな悲しいことに出会ってそれを乗り越えた、深い心の持ち主なのでしょう。
だから、弱っている(弱いのではなく、弱っている)人物がやさしい主人公と関わる中で強くなっていく話がとてもうまく書けるのでは。

って作者の性格を想像する暇があったら、ちゃんと作品読めってね。

ともあれ「ちはやふる」もそうですが、今後の作品がとても楽しみな作家です。
トレース疑惑で、この本も含めて「ちはやふる」以前に出たほとんどの作品が絶版になっていて手に入れるのが難しいですが、過去の作品ももっと読んでみたい。