こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

タロの復活

2015年06月18日 13時39分53秒 | 文芸
タロの復活

 朝の散歩から帰ってきた子どもが、飼い犬のタロの様子がおかしいと訴えた。血の混じったオシッコとウンコをして尻もちをつき、子どもを驚かせたらしい。
 ご飯を持ってタロの前に立った。食べる気配も見せず、ジーッとわたしを見つめている。
 これはおかしいぞ!慌てて動物病院に連れていくと、診たてはフィラリア!手術しないと助からないと聞く。戸惑っている暇はない。即刻手術をお願いする。成功率は90パーセントとか。6万円の費用は、わが家にとってきつい出費となるが、とても大事なタロの命には代えられない。
 入院2日。迎えに行ったわたしの顔を見ると、タロは〈ああ、来てくれたー!〉と縋りつくような目をして、クフーンと鼻を鳴らす。思わず抱きしめてしまった。
 タロが我が家に来てもう10年近い。家族の一員であることをあらためて実感させられた一日だった。
 久しぶりにタロの散歩に付き合った。鎖を引っ張るタロの力をあぐねながらも、その復活がうれしくてたまらない。
(神戸・1998・7・18掲載)

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