こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

花をつけない娘の記念の気

2015年06月20日 16時42分43秒 | 文芸
花をつけない娘の記念の木

 小学校2年生になる末娘が生まれた時、記念に庭へ桜の木2本を植えた。 そのうちの一本が去年の台風の直撃で根元から折れた。やっと花を咲かせ始めたと言うのに、幹が裂けてしまってはどうしようもない。娘と一緒に片付け、薪にした。
 強風にさらされながら生き残ったもう一本は、土に適応しないのか、葉桜のままだ。折れた桜の方が結構花をつけて楽しませてくれただけに、「おまえはウドの大木か?」と、文句のひとつも言いたくなる。引き倒して別の木を植えたいが、娘が大反対。
「もうすぐ、花丸がいっぱいになるよね」と、つぼみらしきものに話し掛けている。
 その翌年の春。娘のお身が通じたのか、桜の花がちらほら開いた。
「ほら、やっと花丸貰えたんだ:
 娘は我がことのように喜色満面でつぶやいた。
(讀賣・2005・4・10掲載)

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