生まれつき気の弱い男の子だった。
親も認めた内向的な性格は、
成長しても一向に変わらない。
だから友達も恋人も作れなかった。
三十代のころ
心をときめかす相手と知り合った。
十以上年の差がある彼女。
私に向けられた好意はすぐ分かった。
男の自分が態度を明らかに
しなければならないのだが、
彼女を前にすると、
素知らぬ風を装ってしまう。
成人式を迎えた彼女が、
式の帰りに私の店を訪ねて来た。
あたりさわりのない言葉で迎えた私に、
彼女はポツリと言った。
「独りで頑張っているあなたを
眺めていられないから、
あたしがお嫁さんになってあげる」
いつもの冗談かと
本気にしなかったが、
彼女の顔は真剣そのものだった。
その時だった。
自分でも意外な言葉が口をついて出た。
「からかうなよ。
ただ君を幸せにする気持ちは、
俺、
だいぶん前から持ってるんだ」
内気な男の
精いっぱいな告白だった。
いまも妻との力関係は
変わっていない。
親も認めた内向的な性格は、
成長しても一向に変わらない。
だから友達も恋人も作れなかった。
三十代のころ
心をときめかす相手と知り合った。
十以上年の差がある彼女。
私に向けられた好意はすぐ分かった。
男の自分が態度を明らかに
しなければならないのだが、
彼女を前にすると、
素知らぬ風を装ってしまう。
成人式を迎えた彼女が、
式の帰りに私の店を訪ねて来た。
あたりさわりのない言葉で迎えた私に、
彼女はポツリと言った。
「独りで頑張っているあなたを
眺めていられないから、
あたしがお嫁さんになってあげる」
いつもの冗談かと
本気にしなかったが、
彼女の顔は真剣そのものだった。
その時だった。
自分でも意外な言葉が口をついて出た。
「からかうなよ。
ただ君を幸せにする気持ちは、
俺、
だいぶん前から持ってるんだ」
内気な男の
精いっぱいな告白だった。
いまも妻との力関係は
変わっていない。
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