こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

父から子へ孫へ

2015年07月15日 01時22分45秒 | 文芸
父から子、孫へと連綿と伝わるモノ

 幼稚園から帰って来た長男が差し出す連絡帳を見た妻が、やけに意味ありげな笑いを送ってよこした。妻がそんな顔をするときはロクなことはない。先手を打って訊くと、妻はしたり顔で、
「親子だなと思って」
「バカ。当たり前だろ、俺たちは正真正銘の親子だ」
「うん!ちゃんと遺伝してるから、立派な親子だ」
「!?」
「ほら、笑っちゃうよ。こんなに座高があるんだもん」
「なん、それ?」
「身体検査の結果よ」
「なに!」
 グーの音も出ない。自覚している、嘆息と胴長は。それが親子そろってなんて…。本来親子ともにってのは悪くはないが、この場合はあまり嬉しくない。ムキになって弁明これ努めた。
「胴長短足ってのは、バランスがとり易くていいんだ」
「ダルマさんみたいに?」
「それなら、あんたの方がピッタリだ。ダルマさん、転んだって……」
 思わず言ってしまった後で、「アッ!」と口を押える。
 小太り体型の妻に、決して言ってはならない禁句なのだ。でも、妻は珍しく沈黙!剣呑剣呑、これはここで打ち止めだ。エスカレートさせても、お互い惨めになるだけだから。
(神戸・1990・5・18掲載)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今は昔、一番風呂が…… | トップ | 新しい約束をしましょう »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文芸」カテゴリの最新記事