機先を制する子どもに負けた
久しぶりに早く家に帰れたので、子どもをビックリさせてやろうと、いつも前もって入れている連絡をせずに急いで家路についた。
ちょうど玄関の前に辿り着いたとき、いきなり駆け出して来たのが子どもたち。彼らも予期していなかった母親と顔を合わせてビックリしている。ところが、その驚きも瞬間で「ごめんね…」と猫撫で声を出す4歳の息子。(えっ?)と面食らっていると、「ボクね、いま、アイシュクリーム買いに行こうとしてたの」
なるほど、それで納得がいった。機先を制して来たのである。
親が一緒にいる時は、余程のことがないとアイスクリームやジュースを与えない。お茶か果物で済ませている。
子どもたちも別に文句を言うでもなく喜んで口にするから、彼らも親の配慮を感じてくれてるのかなと信じていた。しかし、この様子では親の前とよその使い分けをちゃんとやっているようだ。
「お姉ちゃんが買ってくれるの」と懸命に弁解する姿に、「じゃあ行って来なさい」と優しく言うしかない。
買ってくると、「これ食べたら虫歯だよね」って、またまた機先を制して来る。「いいわ、頂きなさい」の母親の言葉を信じられない顔つきで観る子どもたち。
いやはや、これでは“子の心親知らず”の失格母親だな。
(神戸・1988・10・24掲載)
久しぶりに早く家に帰れたので、子どもをビックリさせてやろうと、いつも前もって入れている連絡をせずに急いで家路についた。
ちょうど玄関の前に辿り着いたとき、いきなり駆け出して来たのが子どもたち。彼らも予期していなかった母親と顔を合わせてビックリしている。ところが、その驚きも瞬間で「ごめんね…」と猫撫で声を出す4歳の息子。(えっ?)と面食らっていると、「ボクね、いま、アイシュクリーム買いに行こうとしてたの」
なるほど、それで納得がいった。機先を制して来たのである。
親が一緒にいる時は、余程のことがないとアイスクリームやジュースを与えない。お茶か果物で済ませている。
子どもたちも別に文句を言うでもなく喜んで口にするから、彼らも親の配慮を感じてくれてるのかなと信じていた。しかし、この様子では親の前とよその使い分けをちゃんとやっているようだ。
「お姉ちゃんが買ってくれるの」と懸命に弁解する姿に、「じゃあ行って来なさい」と優しく言うしかない。
買ってくると、「これ食べたら虫歯だよね」って、またまた機先を制して来る。「いいわ、頂きなさい」の母親の言葉を信じられない顔つきで観る子どもたち。
いやはや、これでは“子の心親知らず”の失格母親だな。
(神戸・1988・10・24掲載)
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