こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

優しいからこその生き物は嫌い

2015年07月14日 20時43分35秒 | 文芸
優しいからこそ生き物は嫌い

 3月から犬を飼うことにしたが、3家族13人が同居している関係で、全員が賛成なんてわけにはいかなかった。
 中でも最も強硬に反対したのが、おじいちゃんおばあちゃん。昔飼ったこともあるはずなのに、どうしても首を縦に振らない。
「とにかく飼ってしまえば気も変わるさ」
 と、見切り発車で子犬をもらってきたものの、
「ほら、こんなとこへウンチしたよ!」
「足が弱ってるのに、犬がまとわりついて、命がけで歩かなあかん」
「子どもに病気がうつるで」
 と皮肉のオンパレード。
 ところがある日、おじいちゃん、おばあちゃんの真意を知ってしまった。
「ほらお食べ。お前らはかわいいんじゃがのう、病気やなんやかやで死んだりしたら、あんまりにも悲しいさかいにのう」
 誰もいない日中、おばあちゃんとおじいちゃんは目を細めて犬に語りかけていたのだ。優しいからこその反対だったとは……。
(神戸・1990・4・13掲載)


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