こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

瀬戸大橋開通に

2015年06月19日 01時41分14秒 | 文芸
瀬戸大橋こそ理想の橋願う



 いよいよ瀬戸大橋の開通だ。これに先立っての記念行事ブリッジウォークには、10万人にも及ぶ全国から集まった人が手を取り合い、本州と四国のつながりを確認して喜び合った。青函トンネルと並び、日本の新時代を担う期待は大きい。

 目まぐるしい技術革新で、その昔に不可能とされたものが、着実に実現していく素晴らしさに、この時代に居合わせた幸運を素直に喜ぶ一方で、何か人間の存在が機械文明の名のもとに希薄になりつつあるような不安を覚えてしまう。

 絶対に人類を無視した技術躍進でありえないはずのものが、不思議なことにいつの時代でも常にメリット部分しか前面に押し出されない。デメリット部分は実害が生じた時点で初めて対策が立てられるのがほとんどである。

 だから手遅れになりやすい。原発・大気汚染・空港騒音など、いまだに解決されない問題も多い。これでは便利さの追求のために人間自らを犠牲にしていることになりかねない。

 実に多くの人が歓声を上げ祝福した夢の懸け橋が、現実のものとして始動した後は、いろんな面での完全な対策が取られ、人間や自然をできるかぎり損なう恐れがないよう永遠に人の心をつなぐ理想の橋であり続けてほしいと期待する。

(朝日・1988・4・10掲載)

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