「どないした?」
「泣いて
寝やへんねん」
「夜泣きか。
よっしゃ、
おとうさんが抱っこして相手しとるさかい、
少し寝んかいな。
いつも、
こんな調子やろ。
そら眠たいわ」
「うん、
そやで。
ほなら、
お願いできる?」
よほど眠いのだ。
娘は赤ん坊を託して
そそくさと寝室へ去った。
信頼してくれている。
父親冥利に尽きる瞬間だった。
「……か~ら~す~、
なぜなくの~~♪
からすは、
や~ま~に~♪」
揺りかごの代わりを
務めながら、
童謡を歌う。
十八番にしている子守歌だ。
というより、
ほかに歌える子守歌は
レパートリにない。
「七つの子」は、
二十年以上前に育てた
四人のわが子らに歌ってやった
子守歌なのだ。
深夜に
子守歌は流れ続けた。
「ほな帰るね。
また来るよって」
「ああ。
待ってる」
「無理せんでええからな。
向こうの家の方を
大事にせなあかんやろ」
また余計な口出しだ。
せっかく、
いい雰囲気で
父と娘の間に、
いいコミニュケーションが
図れてるというのに。
「ねえ、
あなた、
そやろ?」
いきなり
こっちに振ってくる。
「ああ。
そらそうや」
違うといえるはずはない。
しかも表情は、
娘が
変だと悟らぬように、
柔和さで繕う。
「それじゃ、
お世話になりました」
婿が生真面目に
頭を下げた。
慌てて
こちらも頭を下げる。
妻と娘が笑った。
明るく、
楽しくはしゃいでいる。
つられて
気持ちが和らいだ。
「また来いや。
うまいもん食わしたるさかい」
「うん!」
娘の家族を乗せた車が
家を離れた。
見送りながら、
赤ん坊を抱えて
幸せに包まれた、
あの日が
またしても
頭の中を駆け巡る。
「泣いて
寝やへんねん」
「夜泣きか。
よっしゃ、
おとうさんが抱っこして相手しとるさかい、
少し寝んかいな。
いつも、
こんな調子やろ。
そら眠たいわ」
「うん、
そやで。
ほなら、
お願いできる?」
よほど眠いのだ。
娘は赤ん坊を託して
そそくさと寝室へ去った。
信頼してくれている。
父親冥利に尽きる瞬間だった。
「……か~ら~す~、
なぜなくの~~♪
からすは、
や~ま~に~♪」
揺りかごの代わりを
務めながら、
童謡を歌う。
十八番にしている子守歌だ。
というより、
ほかに歌える子守歌は
レパートリにない。
「七つの子」は、
二十年以上前に育てた
四人のわが子らに歌ってやった
子守歌なのだ。
深夜に
子守歌は流れ続けた。
「ほな帰るね。
また来るよって」
「ああ。
待ってる」
「無理せんでええからな。
向こうの家の方を
大事にせなあかんやろ」
また余計な口出しだ。
せっかく、
いい雰囲気で
父と娘の間に、
いいコミニュケーションが
図れてるというのに。
「ねえ、
あなた、
そやろ?」
いきなり
こっちに振ってくる。
「ああ。
そらそうや」
違うといえるはずはない。
しかも表情は、
娘が
変だと悟らぬように、
柔和さで繕う。
「それじゃ、
お世話になりました」
婿が生真面目に
頭を下げた。
慌てて
こちらも頭を下げる。
妻と娘が笑った。
明るく、
楽しくはしゃいでいる。
つられて
気持ちが和らいだ。
「また来いや。
うまいもん食わしたるさかい」
「うん!」
娘の家族を乗せた車が
家を離れた。
見送りながら、
赤ん坊を抱えて
幸せに包まれた、
あの日が
またしても
頭の中を駆け巡る。

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