こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

コラム・歌

2015年04月24日 07時00分16秒 | 文芸
「……新聞くば~って~も~う、三月~~♪」
 もう無意識状態だった。カーッと顔が熱く、額に汗が浮く。無我夢中で歌い続けた。
 新聞地域欄に「のど自慢出場者募集」の記事。ムラムラと無性に出たくなり。すぐ出場希望と申し込んだ。内気で人前に出るのは大の苦手なのに、ひと前で歌う気になったのはどうしてか、いまだによく判らない。
 神社の境内特設の簡素な舞台の袖に出場者が集められた。歌う順番はくじ引きで、まさかのトップバッター。足元の震えを堪えて舞台に。もう頭の中は完璧に真っ白だった。
 持ち歌は山田太郎の「新聞少年」。実はこの一曲、高校生の自分を重ねて大好きになった。何度も何度も歌って愛着を覚えた。もしかしたら、苦手なひと前で、無性に歌いたいと思ったのは、そのせいかも知れなかった。
「……つかんで~みせるよ~デカイ~夢~♪」
 終わると、痺れる様な喜びが全身を襲った。
 歌の魅力にとらわれた一瞬だった。

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