こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

人生初に投稿して初掲載された記念の文章!

2015年06月26日 00時11分05秒 | 文芸
ビデオ録画は何のため?

「きのうのテレビ映画すごく良かったなあ。胸がジーンとしてさ、目が潤むほど感動したもんね」
 まだ残る余韻に酔いながら話すわたしに、友達は無表情にサラリと言ってのけた。
「ああ、あれならビデオにとってあるよ」と。
 それがどうしたんだよと口に出かかる。悔しいが、テレビに関する二人の会話はいつもこう。
 名画のすべてはビデオに収めるのが自慢の友達だが、それらの作品についての感想は耳にしたことがない。確かに文明の利器を使ってビデオ保存するのもいいが、それどまりというのも情けない話しだ。
 名作名画は何も記録されるために作られるわけじゃない。それを観る人に精神的な影響を与えるのが役目だ。作品に含まれた意味はとてつもなく大きいはずだ。
 それがコピーされたまま整理されているだけというのは、作った人へのぼうとくになるのじゃないだろうか。録画するのに使う労力を、たまには鑑賞にあてても罰は当たるまい。
 そして感想を語り合おうじゃないか。友よ。そうすれば少しは人間的な会話になるかもしれない。
(神戸・1987・6・27掲載)

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