老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

8;家族模様4 許すことができない ショックな出来事

2017-04-11 01:33:53 | 老いの光影
死はいつ突然襲っくるか それは誰もわからない。

桃子さんのように大動脈弁狭窄症というやっかいな心疾患による突然死もあるかもしれないが

人間誰しも 自分は

交通事故、火災など予期せぬことに遭遇し

今日か明日 [死ぬ] ということは考えていない。

若い人にとって 「明日の生命はないかもしれない」 

そんなことは頭の片隅にはなく 友人といまをエンジョイしている。

しかし 齢を重ね 老いていくと 死の影が後ろから忍び寄り近づいて来る。


「生命」「死」というテーマが

桃子さんの言葉から「ショッキングなこと」を聴くとは予想だにしなかった。

それは桃子さんが普段過ごしている居間に

猫が二匹棲んでいる。

お産間近のトラ猫のことが気になった。

何故かというと

桃子さん自身、身の回りのことはやっと行っているのに

産まれてくる子猫の面倒は誰が見るのか 

桃子さんに尋ねた。

彼女は躊躇う(ためらう)こともなく

「まだ(子猫の)眼が開かないうちに、

袋の中に入れ窒息させてから 両手で子猫の首を捻る。

そうすればあっけなく死んでしまう」。

 (「惨い」 「可哀想」 「許されない」 「人間じゃない」と心のなかで思いながら)

「その後どうするの?」と・・・。

「庭に面している道路側の角地に穴を掘って埋める」

 「桃子さんは埋めることはできないでしょ・・・」

「息子が埋めてくれる」

 「そうなんだ~」と言いながらも

ショッキングな話であり 子猫が余りにも可哀想!

子猫に罪はないのに・・・。


今度産まれてくる子猫も同じ運命を辿らせたくない!

宿った生命を自分の手で絞め殺すことに

躊躇いもない。

話しぶりからすると 過去においても・・・。

息子も母親に対し何も言わず 骸になった子猫を

(親に頼まれ)自宅の庭に埋めることに 何も感じないのであろうか

元教員であった桃子さん

現職の小学校教員をしている長男

子どもたちに生命の尊さを話してきた彼女

息子は 受持ちの子どもたちに 生命の大切さを話している

その話を聞いてから

彼女に対する見方が変わってしまった。

彼女の意外な一面を垣間見たことに

ショックであり 

桃子さんに話す言葉は見つからないまま

「・・・・」の一時が流れた


7;家族模様3 老人はいつ死が訪れるかわからない

2017-04-11 01:23:48 | 老いの光影
かかりつけ医 中村医師から

「桃子さんの病気は、大動脈瘤弁狭窄症という病名で重症にある」

「このような狭心痛、失神、心不全症状が現れ、そのままにしておくと予後不良になる」。


「 一般的には、生命予後は狭心痛が現れると5年、失神が現れると3年、

心不全が現れると最も悪く、生命予後は2年といわれている。

また、何らかの症状のある大動脈弁狭窄症では突然死の危険性がある」。

桃子さんのカルテに 大きな赤文字で重症で記載されてあったほど

大変な爆弾を抱えていたことは、ケアマネジャーから知らされていなかった。

私自身 「おどろきもものきさんしょのき【驚き桃の木山椒の木】」であった

(たいそう驚いたの意味)。

大動脈瘤弁狭窄症という重症な病気を抱えているとなると

血圧の測定や管理

それに入浴の入れ方なども関わるし

きちんと服用しているか等薬の管理も

把握していかねばならない

前述したような狭心痛、失神、心不全症状が現れたときには

早期受診の対応も求められてくる。

いつ死が訪れるかわからない、

それは桃子さんに限らず

要介護認定を受け 複数の疾病を抱えた他の老人も同じである。

今日生きていても

明日は生きているかどうかは

わからない。

神様だけが知っている。

「今日が最後かもしれない」

そんな想いを胸底にしまい

桃子さんといまを過ごす