老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

54;病気と必死に いまも闘っている

2017-04-27 21:17:59 | 老いの光影
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90歳を超えた和賀健治さん
木曜日は 元気に桜デイサービスセンターで
1日を過ごされた

金曜日の朝 自室でうつ伏せの状態で倒れ
同居している三女が見つけ
声をかけても反応がなく意識がなかった。
急いで救急車を呼び
かかりつけの南陸奥総合病院に搬送され
診断の結果 脳幹梗塞で入院。
酸素マスクの使用まではいかなかった
呼びかけても反応がなかった。
三女から電話を受けた
「主治医からは厳しい」と話される

土曜日の午後
「和賀さん~」と声をかけをすると
言葉にならない声で 反応を示した。
まだ呼吸は荒々しく 
必死に病気と闘っておられた。

月曜日の午後
三女は
医師から
「経管栄養により
鼻から胃にチューブを通すものを経鼻栄養法、
直接、胃に穴(ろう孔)をあけチューブを通すものを胃ろう栄養法
の2つ」の選択を問われた、と。
本人は元気だったときから
鼻や胃から栄養を摂るくらいなら死んだほうがいい、と話していた。
話せないが言葉は聞こえ、理解できるまでに回復。
当然本人は態度で拒否した。

点滴と摂食・嚥下訓練から始めることになった

「桜デイサービスの星で~す」と耳元で話しかけた。
言葉聞こえ 彼の大粒の涙が目元に潤み流れていく。
まだ目は見えてはいない。
大きな声を出すが言葉にならないもどかしさ。
彼の表情から悔しさが伝わってくるようだった。
手を握り「頑張ったね」だけしか話せず・・・

彼が倒れてから初めての木曜日
仲の良かった川中イチさん
「和賀さん 今日どうしたの?」
入院したことを伝えると
「どこが悪かったの?」
真剣な表情で問い返される
本当のことを話した方がよい思い
病名を伝えた
彼女はショックだった
先週の木曜日は元気だったのに
彼女は「本当のことを話してくれありがとう」
と寂しい声でお礼の言葉を返してくれた。

いつ突然の大病や死が訪れるか
それは誰もが予期できないだけに
今日という一日が大切になって来る

90歳を越えても
病気と必死に闘っている彼
彼の素敵な笑顔を見せることを待っています




53;内憂外患

2017-04-27 04:33:12 | 介護の深淵
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私なりの「内憂外患」を考えてみた

漢字の持つ意味の深さは
齢を重ねていくほど
わかってきた
「優」は やさしさを意味する
「優」の文字から「人」を除くと
「憂」になり 心配や悩み、不安を抱えた人
憂鬱なとき傍らに人が寄り添うだけで
心が落ち着いてくる
「憂」は心の内側にこもること

「患」の文字から
患者の熟語を連想してしまう
病院の受付で「患者様」と呼ばれると
どうもしっくりこない
「患」は病の苦しみを表す
「患」の文字をバラスと
「串」と「心」になる
焼き鳥の串刺しは美味しいが
串刺しにされた鳥は可哀そうで
痛々しい
「心」は心臓を表す
患者は
串で心臓を貫き通されるほど
痛みに憂える
傍らで手を握る温もりだけで
痛みはやわらいでくる



52;老母の介護に疲れた

2017-04-27 01:23:48 | 老いの光影
ご訪問いただき、ありがとうございます

老母の介護に疲れた

老いた母親の介護は疲れ果てた
顔は一回りちいさくなり目は窪み
どうしていいかわからない
デイサービスからも
ショートからも
「もうみられない」というようなことを
言われてしまった
この先どうすればいいのか
その夜 ケアマネは駆けつけ
長女の深く暗い悩みに
耳を傾けた
老母は
夜中十分おきに起きトイレへ行く
数度夜中表へ出だし歩き始める
外へでたときは後ろからついて行く
「私の体のほうが悲鳴をあげている」
「もう横になりたい」
「もう眠りたい」
と長女はか弱い声で話す
ようやく老母が
認知症であることを始めて認めた長女

長女は母親との軋轢を話してくれた
娘からみれば母親ではなかった
東日本大地震のとき
「娘にやる米はない」と言われた
「母ではなく鬼だと」思った
母は何も変わってはいなかった
子どもだったときから
母親と温かい言葉を交わしたことがなかった
それでも私の母親には変わりはないと思い
介護をし続けている私
糖尿病で手を煩わせている母
認知症でてこずらせている母
まだ家でお世話していきたい、と

長女が抱えている悩み、不安、葛藤、疲労、憔悴など
絡み合った糸をほぐすためにも
彼女の話を最初から最後まで聴いた