老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

10;ありがとうございます/優しさは失われない

2017-04-12 04:34:59 | 老いの光影
marimo_gmさん
コメントありがとうございます
眼が見えなくても
相手の心はよく見えてくるのかもしれません
物忘れが進んでも
小さかったときの我が子の想い出は
ときどきふと記憶が蘇り
その時代に帰ります

「100歳まで生きる」
とても大切な思いだと思います


【優しさは失われない】

一年前に観た南湖公園。
今年も厳しい冬の寒さを乗り越え
あと2週間足らずで また桜の花を観ることができる。
千代さんに「いくつですか」と尋ねると
素直に「40歳かな」と涼しく答える(本人は本当にそう思っている)。
65歳を越えた息子だが、千代さんの気持ちのなかでは まだ小学生の息子なのだ。
高熱をだし体が弱っているから 何か栄養のあるものでも、食べさせてあげたい。
たどたどしい足どりでキッチンまで行き
煮魚を温めた。
人間は 誰かの役に立ちたい。
誰かの役に立つことにより
自分自身の居場所や存在感を感じる。
千代さんの場合は 
重い認知症を患っていても  高熱を出した
わが子のことを思い 母親の役目を果たそうと
ガスコンロに火を点けた。
真っ黒に焦げた魚に目がいき
「あぶないじゃないか、火事を起したどうする」と 強い口調で叱ってしまいがちになる。
叱ることよりも「ありがとう」の声かけが大切。
千代さん当人にしてみれば
彼女は 高熱をだし何も食べていない息子のためにしたこと。
何故叱られたのか(怒られたのか) 意味がわからない。
認知症を患っても 
人間の優しさは失われていない。
火事にならなかったのが幸いであった。
それ以降 ガスの元栓は閉められた・・・。
コメント (2)
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9;いま こうして生かされていることに感謝します

2017-04-12 01:08:31 | 老いの光影
『吾輩は猫である』。

 
余の名前は「屋敷裏太郎」と言います。

余が最初に飼われていたご主人様は誰であったかは思いだしたくもなく、

余の年齢さえもわからないのです。

飽きっぽい飼い主から捨てられた余は、その日から野良猫となり、

野良猫になった飼い猫ほど可哀想で惨めなものはありません。

捨てられた瞬間(とき)から、余は餌もなく寝る家もありません。

例え餌をみつけたとしてもボス野良猫や野良犬に取られてしまうのが落ちでした。

余が辿り(たどり)着いた処はメガステージ白河にあるスーパーの軒下でありました。

いつの間にか、余の自慢の毛並は泥と糞尿まみれになり、

骨が数えられるほどで煎餅板のように痩せこけ、立つことさえもできなくなりました。

汚く臭く腐り「死神」にとり憑(とりつ)かれ瀕死状態にあった猫を目にしても、

多くの人間様は余を避け素通りしていくだけでした。

しかし、「捨てる神」あれば「拾う神」ありで、

そのスーパーへ買い物に来たある婦人(65歳)は余の姿を見ても嫌がらず、

余の傍(そば)に寄りつき憐み悲しみの目で声をかけてくれたのです。

夫人は急いで堀川が流れる川岸の家に戻り夫に相談したのです。

「連れてきたら」という夫の優しい言葉に促され、

夫人はバスタオルを手にし、衰弱した余の体を包み、その足で動物病院に向かい治療してくれたのでした。

獣医から「治療費が高額にかかり、かなり衰弱しており(生命が)もつかどうかもわかりませんよ」。

しかも、余がエイズと診断されても、

新しいご主人様は、戸惑うこともなく吾が子のように自宅に連れ帰り余を看病してくれたのでした。

少しずつミルクを与えられ、体力も回復し歩くことができるまでになりました。

余に言葉が話せたら、心優しいご主人様に「ありがとう」の五文字を伝えたい気持ちで一杯です。

あれから3年と5カ月の時間が経ち

(余が心優しいご主人様に生命を助けられたのは平成21年10月1日であり、その日が余の誕生日となりました)、

いまは80坪ほどもある素敵な和風家屋に棲み(すみ)幸せな日々を送り、ご主人様夫婦から大切にされています。


余が“いまこうして生かされていることに感謝”し、

陽が射すときは堀川の辺に咲いている桜を眺めみながら散歩しているのであります。

余のご主人様は、桜が咲く前に肺炎を患い、現在(いま)病院に入院されています。

余は心配であり元気をなくしているところです。

できるものなら病院へ駆けつけていきたい気持ちですが、余は猫であるのでそうもいきません。

余は、夜は主がいないベッドの傍らで、ご主人の帰りを待ちっています。
 
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