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意気投合
完熟トマトを丸かじりしたいたら
ふと「赤い実」から
過去にあった認知症老人の会話を思い出してしまった。
他人の話を盗み聞きしてはいけないのは承知の上だが、
変な職業意識がはたらいてしまった。
認知症老人同士が会話をしていると、
お互いにどんなことを話しあっているのか、
つい気になってしまう。
習字がとっても上手な河北なほさん(仮名、71歳)と
着物の着こなしが大変上手な中上淳子さん(仮名、86歳)とが、
話しに花が咲き意気投合していた。
花よりも秋の果実に話が移り、
中上さんは居室の窓から見える杉林を指差しながら「赤い柿がたくさんなっているでしょう。見えますか?」、
と話し相手の河北さんに同意を求める。
河北さんの眼は、外の方ではなく居室に貼ってあるカレンダーを見ながら「本当ね、柿がたくさんなっているね」と答える。
カレンダーを見てみると確かに赤い実が描かれていた。
その後の二人の会話は、
依然として噛み合ってはいないけれども、
お互いに否定することなく、お互いの話を受け入れていた。
相手の話を聴くことから、
良好な人間関係が築かれることを
二人は教えてくれた。