老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

459;人間、生きていくには水と散歩が大切

2017-10-07 20:09:17 | 老いの光影
人間、生きていくには水と散歩が大切 

認知症老人は大切なことを教えてくれる
ケアスタッフから電話が入る  
職場からは48km離れた処に居て すぐには行けずもどかしかった
鈴木在人(スズキ アルト)さんのSpO2は「95」あるのだが、血圧が100を切り84/66で涎もでている 心配、どうしたらいいですか
低血圧が心配 涎も気になるが 少し様子をみてみようか。30分後もう一度バイタルを測定し電話をもらえるか
SpO2が「85」になったが、また「95」に復活した 血圧は103になった。引き続き様子を見る
30分もしないうち、スタッフから電話  
大丼い一杯のウンチが出たら、本人はスッキリした顔になり、元に戻った

それは良かった。安心しました。ありがとう。水不足と運動不足で便秘だったんだね

認知症老人は
喉が渇いても水を飲むことがわからない
その上一人で外に出てはいけない、と
歩くことを止められてしまう
これでは便秘になるのは自明の理だ
水と運動(散歩も含む)が不足すると
便秘になる
水分が不足すると便は硬くなってしまい
酷いときには大腸のなかで便が動かなくなってしまう(それを宿便という)
運動不足は
体が眠ってしまう
大腸の動きも止まり、便秘の環境ができてしまう

人間、健康な体で生きて行くうえには水と散歩が大切であることを
在人さんは 体の異変を持って私たちに教えてくれた

458;昔から老人は働き者だった

2017-10-07 18:03:26 | 老いの光影
昔から老人は働き者だった

お爺さんは 山へ芝刈りに行き
お婆さんは 川へ洗濯しに行った

昔も今も変わらない
定年後も働かねば
暮らしていけない今の世の中

年金受給額で決まる
老後の生活水準

年金受給額だけで
幸福か 不幸か
決めることはできないが
幸福の価値基準は
人それぞれ

私の場合は 体と頭が動くまでは働く
働けど働けど我が暮らし楽にならず
石川啄木を思い出す

 

457;誰かに看取られて逝きたい

2017-10-07 12:00:10 | 読む 聞く 見る
ドライブが大好きなbeagle元気

不老不死はなく、人間の寿命は有限であり死を避けることはできない。
「老少不定(ろうしょうふじょう)」(夏目漱石『こころ』107頁 新潮文庫)という言葉があり、
人間の死は老若(老少)に関係なく、
老人が先に死に、
若者が後から死ぬとは限らない。
人生の幕は突然降りると誰も予測できない。

人間「オギャー」と産声をあげ
この世に産まれてくるときは、
独りではない。
医師や助産師が居るし、
傍らに夫がお産に立ち会う時代でもある。
誰かに祝福されながら産まれる。

あの世に逝くときは必ずしも傍らに誰かが居るとは限らない。
急変などのアクシデントにより看護師が知ら間に、
独りで死を迎える老人も居る。
妻や家族、或いは他者でもいい。
誰かに死を看取られながら逝きたいものだ。
現在、死を迎える場面は在宅よりも病院のベッドが多い。
住み慣れた我が家の畳より、
病院のベッドで死を迎える老人の方が圧倒的多い。

産まれるときも死するときも
病院のお世話になる人の方が多い
病院や介護施設で死ぬより
住み慣れた家で死を迎えたいと誰しもが思っている
誰もが家で最期を迎えるとは限らない
人間は誰かに看取られつつ死を迎えたいものである
人生の伴侶者、子ども、友人など親しい人に手を握られながら
逝けたらと思うが
決してその誰かは家族であるとは決して限らない
ときには病院や介護施設のスタッフかもしれない
誰にも看取られず独りで息を引きとるのは寂しく悲しい

456; 柿

2017-10-07 06:00:53 | 春夏秋冬


柿喰えば
屁が出る出る
法隆寺

落ちた柿
惚けた婆さん
拾い集め
独り隠れ喰い
血糖値上がる

秋が来ると思い出す
それは柿の樹のこと
枝には沢山の柿が連なる
独り暮らしの婆さんは
村外れにある柿の樹を覚えていて
秋が来ると
ふらつきながら杖をつき
柿の樹の下にやって来る
烏は高い枝に留まり
熟した甘い柿を食べ
婆さんは落ちた柿を拾い
左右のポケットに
はち切れるほど入れ
家路に向かう

押入れに柿を隠し
炬燵板にはふたつの柿が並び
眺め見た後に食べる柿は
最高に美味しい

翌日母屋に住む長女に連れられ
町医者へ定期受診に行く
血糖値は思いがけないほど
数値が高く
医者も長女も吃驚
今日もインスリンが処方され
帰宅する母娘

或る日 婆さんが
デイサービスに出かけた後
長女は何気なく押入れを開けたら
柿の種や皮が散らかっていた
数値が高かった原因は
柿であった
デイサービスから帰った婆さん
昔怒った娘に
今は娘に怒られる老母
お母さん柿を食べたでしょう
食べていないよ
押入れに食い散らしかした
柿の種や皮があったよ
誰かが食べたのかな、食べてないよ

今年の夏
介護施設で朝食時
喉を詰まらせ亡くなった
柿の季節がやって来た
烏が鳴く柿の樹の下で
いまは亡き婆さんを想う