老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

498;雨の日曜日

2017-10-29 15:56:11 | 春夏秋冬
雨の日曜日 

今週の日曜日も雨
シトシトよりも雨足の音がする
家の窓から見える桜の樹は
枯葉になり
雨風に引き摺られまいと
必死に枝に纏わりついている
O・ヘンリーの『最後の一葉』を思い出す

雨風で枝から引きちぎられた枯葉は
雨で濡れたアスファルトに落ちた
枯葉は濡れ落ち葉となり
アスファルトにベッタリと張り付き
北風が吹いてても剥がれない
樋口恵子は、定年退職した夫のことを
濡れ落ち葉と呼んでいる
嫌な言葉である

季節外れの台風がまたやって来る
迷惑な話である
空き地の窪みに雨水が溜まると
小さな沼になる
大きな雨滴が落ちると
水面は波紋となり模様が動く

我家の一人息子beagle・genkiにとり
雨振りは恨めしく ストレス模様
毛皮のコートが濡れるのが嫌で散歩はしないgenki
台風21号が通過した後の朝 空は晴れ 
雪が降ったときのような喜びで
玄関ドアを開けた途端に飛び出して行った
リードがぴ~ンと張り詰め吾輩はつんのめり転びそうになった

雨なので妻はつまらなそう
お昼前にまつ毛パーマに行くと言い出し
アッシー君にされ
ラパン・ショコラで送り迎え
相変わらず雨は降り続け
車の屋根に雨足の音が響く
のど自慢を聴きながら
『ナミヤ雑貨の奇蹟』を読み
パーマ屋の前で妻を待つ

雨は止みそうもない日曜日
隣りでgenkiはふて寝

雪ならばこの世の汚れた物を
覆い隠し白銀の世界となる
雨ならばこの世の汚れた物を
洗い流してくれるのであろうか
秋雨は暮色となり
私の心を孤独のなかに包み込む

497;死ぬことより老いてゆくほうが難しい

2017-10-29 11:07:45 | 老いの光影
死ぬことより老いてゆくほうが難しい 

「死」の経験はしていないので
「死」はどんなものか実感でき得ないけど
「死ぬ」ことより
「老いてゆく」ことのほうが難しい
老いの風景から
そんなことを感じる

496;上手な介護サービスの活用処方 第28話「認定調査の項目」 〔26〕 生年月日や年齢を言う

2017-10-29 05:03:16 | 上手な介護サービスの活用処方
上手な介護サービスの活用処方 第28話「認定調査の項目」 〔26
3-3 生年月日や年齢を言う

ここでいう「生年月日や年齢を言う」とは、生年月日か年齢かのいずれか一方を答えることができることである

1.できる
2.できない

1.質問されたことについて、ほぼ正確な回答ができる場合をいう。
2.質問されたことについて正しく回答できない、あるいは、まったく回答できない場合をいう。
  回答の正誤が確認できない場合も含まれる。


・実際の生年月日と数日間のずれであれば、「できる」になる。
・年齢は、2歳までの誤差で答えることができれば、「できる」になる。


 認定調査をして実際に疑問に感じていることがある。
それは認知症が進んでいても、年齢を正しく答えることができないのに、生年月日は正しく答えられる。
そうすると認定調査の判断では、生年月日だけでも答えることができれば、「できる」を選択する。

自分の名前を忘れるような状態になったら、認知症の症状は重度になり、成年月日も答えることもできない、と思う。
その人ににとって生年月日は名前のようなものであり、
生年月日は何かにつけ書類に記入したり、聞かれたりすることが多いため、頭のなかに名前と同じく刷り込まれており忘れにくい。

しかし、年齢は変化し、70歳、80歳代の年齢であっても、自分はまだ30代、40代の年齢だと思っている調査対象者をよくみけかる。

長男は50歳の半ばを過ぎているのに、「息子がお腹を空かして学校から帰ってくる」、と思い、
ガスコンロに鍋をかけおかずをつくる。そのうち鍋をかけたことを忘れ、鍋を焦がし、大騒ぎになる。
長男から「火事になったらどうする!」とすごい剣幕で怒られてしまう。
当の本人は、息子のためにおかずを作ったのに、なぜ起こられたのかわからないでいる。
このような状態にあっても、生年月日だけは正しく答えられる。

認定調査では、生年月日か年齢かのいずれか一方を答えることができれば、3-3の認定調査項目では、認知症はない、と判断さえてしまう。
問題が残るところである。