老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1041;嫌われる老人

2019-04-05 05:05:33 | 老いの光影 第4章
南みちのく 桜の開花はまだまだ・・・


 嫌われる老人

嫌われる人間は 何処にでもいる
自分がそう思われぬよう 気をつけなければ・・・・

しかし、嫌われている人間の方が
ときには正しかったりする場合もある

認知症が進んでくると
その人の 性格(人柄)は丸裸に晒される

認知症老人は「何もわからなくない人」だと誤解、偏見がある
何もかもがわからなくなることはない
理解力や判断力などは落ちてゆくけれど
感情は失われずにある

自宅やデイサービスは介護施設などで過ごされていて
誰が 私の見方(理解者)であり
敵(命令や指示をする人、ときには叩く人)であるか の区別はできる

感情は失われずにあるけれど
感情が裸のまま晒され

思っていることをそのまま言葉や態度に出てしまうことがあるだけに
やっかいである

老人の性格は
認知症になる前
その老人が培ってきた人柄や性格、価値観など
周囲の人を気にせずストレートに相手を傷つける言葉を吐いてしまう
注意してもわからず 同じ言葉を繰り返す

頭痛の種となる

85歳の関辺婆さんは大きな声で話す
(話すというよりは暴言を放すである)
同年齢の小田倉爺さんだけでなく周りの老人たちにも聞えよがしに
「あんな躰(脳梗塞後遺症、左半身麻痺、軽い言語障害)になってデイサービスに来たいんだべか。俺だったら来ない。食べ方が汚い・・・・」等と大きな声で放す

その老人の持っている性格を変えることは難しく
注意してもわからず
認知症もあり また心ない言葉を吐いてしまう

その婆さんは
同居している嫁様の罵詈雑言(ばりぞうごん)
「東京に嫁いだ長女が一番可愛い」と放たれ
「娘(長女)と鰻を食べてきた、美味しかった」の一言だけで、長男夫婦に手土産の鰻はない

関辺婆さんは いま
悪性リンパ腫でこの先どのくらい生きられるかわからない
本人に告知されたが
病名も告知も忘れている

老いてからも嫌われぬよう気をつけねばならぬ

人を傷つける言葉を吐く
当の本人は気がついていない

言葉は刃物にもなる

言葉は人を癒してもくれる