老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1082;“草刈正雄”ならぬ、“芝刈正雄”で~す

2019-04-29 17:31:26 | 阿呆者
“草刈正雄”ならぬ、“芝刈正雄”で~す

草刈正雄は 『なつぞら』で熱演中
今日は、草刈ならぬ 自分は“芝刈正雄”になり
雑草が生えた小さな庭を芝刈り機で“美しく”した。

老い齢を重ねると階段の昇降が億劫になることから
小さな平屋にし、浴室・トイレの入口は3枚の引き戸にした。
玄関はあえてスロープにせず、タイルの縦幅は100㎝にした。
車いすが十分に乗るスペースを取り、タイルとタイルの段差は10㎝、
介護者は楽に車いすの昇降ができる。
雪国はスロープは滑りやすいのでかえって危ない。




たった3坪の野菜畑をもてあまし、昨年の枯草がそのまま。
枯草のなかからハルジョンやたんぽぽが咲いている。
自分は“貧乏草”と蔑まれるハルジョン、ヒメジョンの花が好き。
wifeは庭に生えた貧乏草を嫌がる
見るも無残に痩せこけた荒地。昨年は野菜の苗を植えただけで、
手入れもせず放置していたため、不毛作になってしまった。
今年は令和になることから、野菜作りにチャレンジしようか、と
胸深く秘めているのだが・・・・・。
wifeに「ボ~っと生きてんじゃね~よ」と言われてしまう自分。
22本のろうそくの差は大きい
傍で寝ているbeagle元気は、“笑い”、尻尾を振りまくっている、wifeの味方。
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1081;椿姫 “銭湯を懐かしむ”

2019-04-29 08:45:17 | 読む 聞く 見る
浅田次郎 『椿姫』 文春文庫
椿姫 “銭湯を懐かしむ”

不動産会社の社長 高木は、経営に行き詰まり、
不良債権担当の銀行員から
「なら社長、あの保険は何です?」と迫られ
保険金は2億9千万円
自殺することを仄めかされる。
銀行は、晴れた日に傘を差しだし、雨の日に傘を取り上げる

死に場所を求め彷徨った高木は
二十年前に妻と暮らした古アパート 福寿草 が脳裏に浮かぶ
福寿草には風呂がなく、近くの銭湯“椿湯”に通っていたことを想い出す。

高木は“椿湯”の暖簾をくぐった。
番台の店主小さな老人は、高木のことを覚えていた。

銭湯の庭には、山茶花の垣があった。
高木は「山茶花なのに、椿湯ですか」
山茶花と椿の花はよく似ている

「たわわな紅を灯す花(椿姫)を見るうちに、わけもなく高木の胸は詰まった。
すべてを忘れてしまった。生きるために記憶を淘汰したのではない。
金と欲にまみれた時代の向こう側に、すべての記憶を置き去りにしてきた」
70頁)

高木は二十年前の風景の一部であった銭湯“椿湯”に再会する。
高木が銭湯で邂逅した椿姫とは、恋人だったころの妻との貧しい生活ながらも楽しかった日々を想い出す。
金欲に溺れ、何か大切なことを忘れ失ってしまっていたことに気づく高木。

二十年前、妻はいつも青いベンチに腰をおろし
高木(恋人)の湯上りを待っていた。
「洗い髪が芯まで冷えた」お詫びに、高木は一輪の椿姫を濡れた髪の耳元に飾ったことを想い出した。

ここで、かぐや姫の『神田川』を聴きながら椿姫を想う。




コメント (2)
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