老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1446;3.10 東京大空襲は「核並みの被害だった」

2020-03-10 18:35:08 | 老いびとの聲
東京大空襲



3.10 東京大空襲は「核並みの被害だった」

ワイドナショーは、開けても暮れても”新型コロナウイルス”一辺倒の放送
新型コロナウイルスと並んで今日(3.10)は「東京大空襲の日」である。

日本の敗戦が色濃くなり
米軍は焼夷(しょうい)弾攻撃により
一夜にして兵隊ではなく子ども、女性、老人など
10万人もの人が亡くなった。

広島と長崎に落とされた原爆で亡くなった犠牲者は
広島14万人、長崎7万人だった。
原爆(核兵器)と変わらない、火薬兵器でも核並みの被害を出す。

戦争で犠牲になるのはいつも民衆であり、
戦地で死んでいった兵隊である。

東京だけでなく各地の地方都市も
大空襲にあっている。
大空襲や戦後の廃墟から立ち直り
日本の繁栄を築いてきた90歳、80歳を超える老人たち

戦争当時、「勝つまでは欲しがりません」の生活を思ったら
いまの苦労なんぞ、いくらでも忍耐することができる、
と老人は話す。





1445;歌を忘れたカナリア

2020-03-10 12:16:04 | 阿呆者
銚子の海

歌を忘れたカナリア  

歌を忘れたカナリア
もう人間様から可愛がってもらえず
籠から出されるのであろうか

言葉を忘れた老人
数え切れないほど記憶のピースが抜け落ち
住み慣れた家で暮らし続けることができるであろうか



歌を忘れてもカナリアは、いつまでも可愛が
ってもらいたい。犬が大きくなり「可愛らし
さ」が失われると、人間は飽きてしまい、見
捨てしまう。犬と猫を合わせると、日本だけ
で年間5万頭が殺処分されている。犬も猫も
家族であり命を持っている。

言葉を忘れるのは認知症老人だけでなく、ひ
とりで暮らしている老人にも起こりやすい。
ひとり暮らしの85歳の老女を訪問したとき、
「話す人もいない。テレビを観ても、声は聞
こえるけれども話すことはできない。話さな
いでいると、なんだか言葉を忘れていくよう
な気がする。」、と寂し気に話してくれた。


認知症老人は、いま話したことを忘れ、忘れ
たことも「忘れて」しまう。忘れてもよいか
ら、認知症老人に身振り手振りも使い、感情
を込め言葉をかけてゆくことが大切。自分を
気にかけてくれる、心配してくれる、という
感情は認知症老人にも伝わる。

忌まわしい過去、思い出したくない過去など
忘れることができたらこころがもっと軽くな
るのだが、認知症になっても忘れずにいるの
だろうか・・・・。

1444;ひと夏の生命

2020-03-09 20:42:42 | 空蝉
     
書店に立ち寄り 不図目にとまった『生き物の死にざま』

ひと夏の生命

29の生き物の限られた命を綴ったエッセイ
生き物の生きざま死にざまと言えば「蝉」が真っ先に思い浮かぶ

木につかまる力を失った蝉は、地面に落ち上を向いて死ぬ。
蝉の死体が、路端や地面に落ちている。

「仰向けになりながら、死を待つセミ。
 彼らはいったい、何を思うのだろうか。
 彼らの目に映るものは何だろう。」
(稲垣栄洋著『生き物の死にざま』草思社 10頁)

仰向けになった蝉の目は、地面の方を向くことになる。
蝉にとっては、「その地面こそが幼少期を過ごしたなつかしい場所」(前掲書11頁)

蝉の命は短く、ひと夏のはかない命。
蝉の雄は、俺は此処にいるぞ」、大きな声で鳴き叫び、雌を呼び寄せる。
雄と雌は繁殖行動を終え”生きる目的”を終え、死を迎える。

蝉に限らず、老いびとたちも、死を迎えるとき何を思い
最後にどんな風景が目に映るのだろうか

                  八日目の蝉




1443;TKG

2020-03-09 05:16:03 | 阿呆者
TKG

{TKG}とは
Tamago Kake Gohan {たまご かけ ごはん}のことである。

これといったおかずがないとき
気分的に たまご かけ ごはん がたべたいとき
そういうときはwifeも自分もTKGになる

画像にあるようなたまごの黄身を「W(ダブル、2個のたまご)」にして食べる。
卵白は食べない

子どもの頃
朝、鶏が産み落とした生温かいたまごを
鶏舎から持ってきて、TKGをしたときは
最高のご馳走だった。

白味も捨てずに黄身と一緒にかき混ぜた。
ズルズルと飲み込んでしまう、と
母親から「よく噛みなさい」、と怒られた。



1441;かけ違い

2020-03-08 11:50:00 | 阿呆者
那須高原 余り人が通らない路

かけ違い

ボタンのかけ違い
かけ直すことができる

言葉のかけ違い
相手のこころを傷つける




惚けてなくても、うっかりして、ボタンのか
け違いをすることがある。他人に言われて、
はじめて気づき、慌ててボタンをかけ直す。

やっかいなのは、言葉のかけ違いである。
言葉を発した当の本人自身が「かけ違い」を
したと思っていない。ボタンのかけ違いは、
目に見えるからわかりやすい。言葉のかけ違
いで、相手のこころを傷つけ取り返しのつか
ないことにもなりかねない。

言葉は、「言の葉」と表現され、みずみずし
い新緑の葉を連想してしまう。みずみずしい
葉は生命そのものであり、言の葉も生命を宿
している。

家族や友人、知人が悲嘆にくれたとき、無言
であっても相手に癒されたり、悲しみ消えて
ゆくような気持ちになったりする。「頑張っ
てね」「大丈夫だよ」と言葉にしなくても、
勇気づけられたり希望を持ち始めるのも言葉
の力である。


1440;介護給付制限

2020-03-07 19:49:29 | 老いの光影 第6章 「老い」と「生い」
介護給付制限

役場介護保険係から電話がかかってきた。
「芳治老人は、3月1日から1年間介護保険の給付制限になる」
いままで1割自己負担で介護サービスが利用できたが
これからは、3割自己負担(7割給付制限)となる。

いま芳治老人は、介護用ベッド、歩行器などの福祉用具を
月1,950円の負担が5,850円になる。

芳治老人は、過去に一定期間保険料を滞納していたので
役場は給付制限を行うことになった。

3月の介護保険サービスの利用票を作り直し
芳治老人宅に訪問し”介護給付制限”の説明をしなければならない。

これってケアマネジャーが説明するようにお願いされたけれども
介護保険係担当者も説明すべきものでは、と 不図思った・・・・。

芳治老人家族は、1年半前までは生活保護を受給していたが
同居している長女は「生活保護を受けていると車が運転できないので、生活保護を辞退」した。
生活保護を辞退したあと、長女はパート勤めにでたものの
うつ病やヘルニアが悪化しパートは休みがちの状態。

生活保護の場合、
健康保険料、介護保険料、医療費、通院に要する交通費は
生活保護費から負担され、自己負担はない。

生活保護を辞退した場合
上記の健康保険料、介護保険料、医療費、通院に要する交通費は
すべて自己負担となる。
それに見合う収入がなければ、どこかを削らなければならなくなる。

バスも朝夕の1便しか走らない僻村にあり
長女は子どもの高校の送り迎えに車は必要だから
生活保護よりも「車」の所有を選んだ。
生活保護を受給している場合、オートバイは所有できるが
軽自動車を含め車は所有できない


今後どう暮らしを立て直したらよいか
長女と面談をしたいのだが
体調が悪いということで、まだ話ができていない。

家庭経済状況が困窮しサービスが必要なケースほど
健康保険や介護保険の給付制限を受けてしまう。





1439;酒に酔いしれてます・・・

2020-03-07 11:06:14 | 阿呆者
酒に酔いしれてます・・・

吾輩は直立歩行のにんげんである。
吾輩は酒は好き、でも血管への吸収がよいせいか
すぐ酔ってしまう。

ところで、吾輩は毎日忘れることなく11種類の錠剤を真面目に服用している。
その錠剤のなかに「ワーファリン錠1.5mg」が含まれている。
ワーファリン錠は、納豆を食べることは「禁」なのだが、「酒」も余りよくない。

缶ビール1缶(350cc)だけで、心臓がドキドキ💓しだす。
心疾患もあり、ビール、酒を止めることにした。

wifeは吾輩を気にすることなく
家では缶ビール、外食のときは生ビールを美味しそうに飲む。
いつも帰りは吾輩が運転役となりキャンバスのハンドルを握る。

吾輩は、家に着くと冷蔵庫を開け「甘酒」を取り出す。
180cc~200ccの甘酒をコップに注ぎ、味わいながら飲み干す。
吾輩は、いま、甘酒に「はまり」、独り酔いしれてます。
森永の甘酒が吾輩には飲みやすい
wifeは、もう蒲団のなか・・・・。



『二人でお酒を』掲載しましたが
wifeと「別れ話」が出ているわけではありません。

1438; コロナウイルス

2020-03-07 01:41:21 | 阿呆者
コロナウイルス

コロナウイルスは拡大の一途をたどる
不安だけがつのり増すばかり。

高齢者が感染すると死亡が高いだけに心配である。
デイサービスでは37.5℃以上の熱があると、利用中止になる。
一人暮らし老人の場合は、利用中止にしそのまま自宅に帰らすわけにもいかない。

まだ、周囲の介護施設や介護事業所で、感染者が出ていないので
ホッとしているが、気は抜けない。

神経過敏になるのはわからないわけでもないが、
大切なのは、相手を思いやること。
自分さえ良ければ、後はどうでもいい・・・・・・

病院からアルコール液や
飲食店、コンビニからトイレットペーパー🧻を
持ち出す行為は、
必要とする人が困るのはわかるはずなのに
自分のことだけしか考えない。

心がすさんでしまうことも
コロナウイルスと同じく”怖い”

コロナウイルスに限らず
手洗いは感染防止の第一歩であることを
教えてくれている。


1437;めぐる季節のなかで

2020-03-06 16:12:34 | 歌は世につれ・・・・

めぐる季節のなかで

松山千春が歌う『めぐる季節のなかで』
歌詞の最後に

めぐる季節のなかで
貴方は何を見ているだろう


日本の中で雪が降る処ほど
春夏秋冬の四季がはっきりしている

冬の季節、大雪が降り積もると大変だけれども
厳しい自然に晒されながら
そこに生きる人間がいる

春は生命溢れる季節
土のなかから虫たちも這い出し
路傍は名も知れぬ花が咲く

夏は暑さと脱水症を乗り越えた老人は
紅葉という美しい風景に再会する

紅葉は美しい自然の絵画であるけれど
木々にとっては葉を色付かせ 
そして落ち葉となって散って逝く

めぐる季節のなかで
老人は何を見ているのだろう
老人は何を想うのだろう


1436;生きているうちが花

2020-03-06 08:01:29 | 阿呆者

生きているうちが花

よく言われる
「生きているうちが花」

生きているうちが花だとすると
死んだら“枯花”なのか

それでは
死者を冒涜することになる
その人が好きだった花を添えたい

自分が好きな花は
ハルジオン、ヒメジョオン、さくら

1434;この世に生まれたきた人間は 泡沫の如く消えゆく

2020-03-05 04:17:37 | 読む 聞く 見る
この世に生まれたきた人間は 泡沫の如く消えゆく
鴨長明 『方丈記』

若かりし頃 高校1年のとき
古文で『方丈記』を勉強したことを思い出す
そのときは、文法や古語解釈などにとらわれ過ぎ
つまらなかったことを覚えている

老境にはいり
再び『方丈記』を手にした

授業では味わうことができない深い意味を知った
『方丈記』は無常観とか無常の思想を著したもの
そう言われている
それは『方丈記』の書き出しの箇所を意味するからなのか
私は「無常観」という言葉だけで
方丈記が意味する内容は奥が深い

「ゆく河の流れは絶えずして、
しかも、もとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、
かつ消え、かつ結びて、
久しくとどまりたる例なし。
世の中にある、人と栖と、
またかくのごとし」。

鴨長明は
当時の世相(権勢や出世、富など)から
{現代も同じだが}
人生のはかなさを覚えていた。
この世に生まれたきた人間は
泡沫の如く消えゆく
人も家(財貨)も消える

それよりも大事なことは
人間は生老病死という四苦から
逃れることのできない運命(宿命)を持つだけに
人生とは何か
人間が生老病死を抱えながら生きるとはどういうことか

医療の発達や消費生活の豊かさなどで人間の寿命が延びた結果
認知症発症や脳血管疾患等の病により
寝たきりや手足が不自由になり
一人では生きられず
介護を要する状態となったとき
介護は生老病死を抱えたテーマでもある

仏教はもっと
日本人の生活のなかにあるものだと思うのだが
私自身仏教は、葬式や法事のためにあるものではなく
(亡くなった人を弔い、先祖を敬うことは大切、葬式や法事、供養を否定するものではない)
仏教は哲学であり、生きる意味を問うていくものではないか と思う

人間生きていく上で
死は避けれない問題であり
生と死は一つであるとしている
仏教は生死のことを見つめさせてくれる
そう思っている

答えのない生死のテーマに
私自身 
病を抱え
老に入り
悩みは尽きず
背後から死は忍び寄り
日々悶々としながら
残り少なくなる時間に
焦りとのんきな気持ちが混在している

1433;一番大切な人

2020-03-04 16:20:54 | 老いの光影 第6章 「老い」と「生い」
一番大切な人

或る晴れた日
橋田夫婦宅を訪問。
お二人の年齢はともに89歳。
夫婦仲は睦まじく、
夫の健さんは
自らの病身より、
惚けた妻のことをいつも気遣い、
四六時中優しく見守っておられた。

文乃さんは脳梗塞を発症、
左半身不全麻痺だが、
ポータブルトイレへの移乗は
介助バーにつかまればなんとかできる。
ズボン、パンツの上げ下ろしは妻が手助けをしている。

或る日の夜、文乃さんは夫の方に向きなおり話しかける。
いつも夫のことを頼りにしていて「おとうちゃん」と呼ぶ。
「おとうちゃん、私のいうことを聞いてくれて、
私はね、おとうちゃんがいちばん大切な人。

よく顔を見せて、どうしてこんなに好きなのかわからない。
いつも私の傍に居てくれたら、何もいらない。
これ以上の人は巡り会わない。
きっと前世からつながりがあったのかな。
もしかしたら兄だったのかもしれない、
それともお父さんかな」。

老夫婦 お互い
相手の病身を気遣う
89歳になっても
「あなたが傍に居てくれるだけでいい」
夫の耳元でささやく文乃さん
素敵な夫婦です