Mちゃん(高2):
この前にやった「花の歌」の仕上げです。
この曲の最大の見せ場は、2回出てくる「カデンツァ」です。
「カデンツァ」というのは、クラシック音楽用語で、その部分だけ伴奏がパタッとなくなり、ソロ楽器が数秒間、派手なテクニックを披露する音列をばばーんと奏でること。大方は華やかなアルペジオやスケールで飾り立てられています。
つまり、演奏者の「どや!」を見せびらかすところなので、カデンツァが上手に弾けたら、その曲の演奏はほとんど成功したといっても過言ではありません。
「カデンツァを制する者は曲を制する」なのです。
さて、そんなカデンツァが2か所も盛り込まれている「花の歌」、まず1回目のカデンツァは、Aのコードのアルペジオで駆け上がり、駆け降りるスタイルです。
特にテンポの細かい指定はありませんが、こういった長い上昇→下降のパッセージを弾くのにはコツがあります。
「坂道を上るように上り、下るように下る」コレです。
みなさん、自転車で坂道を上ったことはありますか?
上り始めはペダルが重いので、力いっぱいこいでモーションをつける。すぐに軌道に乗り、ぐんぐんと勢いがついて上っていく。坂のてっぺんにつき、一瞬平らになった、と思う間もなく、下りはどんどん加速度がついて一気に転がり落ちるように。坂の下まで降りたら、後はゆるやかな平地・・・
これを演奏で再現するのです。
最初は助走のようにゆっくりモーションをかけ、勢いとスピードを増しながら駆け上がり、最高音で一瞬止まるかのポーズを経て、一気に加速度を付けながら駆け降り、最後はゆったりと着地。
上りも下りもおんなじ速さじゃ、加速度も落下もないジェットコースターみたいで、おもしろくもなんともありません。
上り坂&下り坂、ジェットコースターののぼりと落下、などをイメージしながら、スリルあふれる演奏を研究してください。
「花の歌」2つ目のカデンツァは、1つ目のアルペジオよりもう少しメロディックなパッセージで、その分指使いもややこしくなっています。
こちらは、ちょっとひねくれた動きでくねくねと上り、てっぺんからまたくねくねと下り、地上に着いたかと思ったらまた一気に上昇、というパターンです。
今度は、山道よりもう少しイメージを膨らませてみましょう。
「花の歌」なので、一面の花びらが空中に舞い上がるイメージでどうでしょう。
木の梢まで舞っていった花びらが、またひらひらと舞い落ちてくる。
静かに地上へ舞い落ちたかと思ったとたん、一陣の風が吹いてきて、花びらたちは一気に巻き上げられ、花吹雪となる。。。
どうですか。ただ技巧を見せるのではなく、色鮮やかなビジュアルを思い浮かべながら弾けば、微妙なテンポの伸び縮みも自然についてくると思います。
「花の歌」はテクニックも易しい小品ですが、演奏者の豊かな表現力によって数倍もゴージャスな曲になるので、みんなもがんばって、想像力・表現力豊かに弾いてみてね。
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