「ハコハコ ベジカフェ」の向かいが「喫茶ヴィオロン」です。
阿佐ヶ谷という街は、街自体 なんとなくレトロな雰囲気のある「昭和の街」って感じなのですが、その中にある このヴィオロンは、まさに大正ロマンか昭和アンティーク、な雰囲気に満ち満ちているのでした。
古びた濃い茶色の手すりで囲まれた店内、片隅に置かれたアップライトピアノ、ぼんやりと灯りをともしたテーブルランプ、アンティークショップにあるような古い壁掛け時計・・・
写真を撮ってこなかったので、ごめん、リンク貼っちゃうね。
ヴィオロン店内
ねっ、なんか、アンティークの着物着て フリルの付いた白いエプロンかけた「女給さん」が注文取りにきそうな感じがしませんか?
本日 朗読ライブを演じるのは、私たち二人に共通の 古い友人です。
彼女と親交があったのは、もう、かれこれ10年ぐらい昔だったのではないでしょうか。
「ねえ、Sさんと、もう10年ぐらいは会ってないよね?」
私と友人は、指を折って数えながら記憶をたどりました。
「そうだよね。もうそんなになるよね・・・あの頃、あんな人もいたし こんな人もいたよね」
「そうそう、思い出してきた。ほら、すごい年上だった、あの人なんか、どうしてるのかな」
次々に、当時の仲間たちを思い出し合いながら席につき、ふと店内を見回すと・・・
おどろいたことに、座席についているのは皆、その10年前当時に、彼女や私たち二人と共通の知人であった「あんな人」や「こんな人」たちばかりではありませんか。
そしてまた、10年の歳月が過ぎ去っているにもかかわらず、皆 当時と少しも変わらず、若くて美しく、私たち二人にも親しく話しかけてくれるのでした。
驚いているうちに 開演時間となり、朗読が始まりました。
演じる彼女は、白地に草木柄を散らした和服を着ていました。
たとえどれほど工夫を凝らしたドレスやスーツを着たとしても、今日の語りに、和服ほどぴったりとマッチし 格調高さを演出できる衣装はないであろうと思われました。
演目は、室生犀星が 伊勢物語からイメージを膨らませて物語にしたという「津の国人」という短編でした。
1時間ほどの内容にまとめたというその「語り」は、彼女の美しい声と抑揚、落ち着いた語り口で豊かにイメージ世界を描き、目の前にくっきりと 平安時代のラブストーリー絵巻が見えました。
ついに最後のフレーズが終わり、目の前の絵巻も消えて またカフェの店内が現れました。
10年前の知人たちは皆、口々に「お目にかかれてよかったわ」「またね」などと言いながら帰っていき、いつしか私と友人二人が最後の客となっていました。
「今日はどうもありがとう」朗読の彼女が店の出口で見送ってくれました。
あの「ヴィオロン」の時空は、間違いなく「タイムスリップ」であったに違いない。
私たち二人は、10年前の世界にタイムスリップし、さらにそこから1千年以上昔の平安時代絵巻の中にトリップしてきたという、不思議な「二重構造」の異空間であったのだ。
と、今でも私は確信しています・・・
阿佐ヶ谷という街は、街自体 なんとなくレトロな雰囲気のある「昭和の街」って感じなのですが、その中にある このヴィオロンは、まさに大正ロマンか昭和アンティーク、な雰囲気に満ち満ちているのでした。
古びた濃い茶色の手すりで囲まれた店内、片隅に置かれたアップライトピアノ、ぼんやりと灯りをともしたテーブルランプ、アンティークショップにあるような古い壁掛け時計・・・
写真を撮ってこなかったので、ごめん、リンク貼っちゃうね。
ヴィオロン店内
ねっ、なんか、アンティークの着物着て フリルの付いた白いエプロンかけた「女給さん」が注文取りにきそうな感じがしませんか?
本日 朗読ライブを演じるのは、私たち二人に共通の 古い友人です。
彼女と親交があったのは、もう、かれこれ10年ぐらい昔だったのではないでしょうか。
「ねえ、Sさんと、もう10年ぐらいは会ってないよね?」
私と友人は、指を折って数えながら記憶をたどりました。
「そうだよね。もうそんなになるよね・・・あの頃、あんな人もいたし こんな人もいたよね」
「そうそう、思い出してきた。ほら、すごい年上だった、あの人なんか、どうしてるのかな」
次々に、当時の仲間たちを思い出し合いながら席につき、ふと店内を見回すと・・・
おどろいたことに、座席についているのは皆、その10年前当時に、彼女や私たち二人と共通の知人であった「あんな人」や「こんな人」たちばかりではありませんか。
そしてまた、10年の歳月が過ぎ去っているにもかかわらず、皆 当時と少しも変わらず、若くて美しく、私たち二人にも親しく話しかけてくれるのでした。
驚いているうちに 開演時間となり、朗読が始まりました。
演じる彼女は、白地に草木柄を散らした和服を着ていました。
たとえどれほど工夫を凝らしたドレスやスーツを着たとしても、今日の語りに、和服ほどぴったりとマッチし 格調高さを演出できる衣装はないであろうと思われました。
演目は、室生犀星が 伊勢物語からイメージを膨らませて物語にしたという「津の国人」という短編でした。
1時間ほどの内容にまとめたというその「語り」は、彼女の美しい声と抑揚、落ち着いた語り口で豊かにイメージ世界を描き、目の前にくっきりと 平安時代のラブストーリー絵巻が見えました。
ついに最後のフレーズが終わり、目の前の絵巻も消えて またカフェの店内が現れました。
10年前の知人たちは皆、口々に「お目にかかれてよかったわ」「またね」などと言いながら帰っていき、いつしか私と友人二人が最後の客となっていました。
「今日はどうもありがとう」朗読の彼女が店の出口で見送ってくれました。
あの「ヴィオロン」の時空は、間違いなく「タイムスリップ」であったに違いない。
私たち二人は、10年前の世界にタイムスリップし、さらにそこから1千年以上昔の平安時代絵巻の中にトリップしてきたという、不思議な「二重構造」の異空間であったのだ。
と、今でも私は確信しています・・・