K子さん(大人):
いつもいつもやりたいこといっぱいのK子さん。
「今日はコレからやっていいかしら?!」と意気込んで広げたのは、「ジャズ曲集」の「A列車で行こう」です。
「この間、先生に録音していただいたのに合わせて弾いたら、なんかスゴくいいのよ~♪」
そう、生徒のみんなには「Youtubeとかをいろいろ見て、参考にしてみたらいいよ」と言ってあるのですが、どうしてもそういった動画はテンポが速かったりして、学習中の生徒には追い付いていけないことが多いです。
クラシック曲は、楽譜をよく見てきちんと音を取っていけば、ゆっくりながらも自分で練習することができますが、ジャズは、楽譜に書いてないノリを表現しなければいけなかったり、ヒバリ先生がしょっちゅう言ってる「暗黙の了解」が必要だったりと、慣れていない生徒のみんなは、楽譜を見ただけでは「雲をつかむよう」「取り付く島がない」と、お手上げ状態になってしまうこともあります。
お手本の音源がほしいところですが、ジャズは決まった楽譜というものがなく、Youtubeに自分が弾こうとする演奏がUPされてるわけではありません。
そこで、K子さんの弾いてるアレンジ楽譜の「A列車で行こう」を、K子さんが追い付いていけるように、ゆっくりのテンポで弾いて録音してあげたのでした。
「先生の録音に合わせて弾くと、なんかいい感じで弾けるの。・・・でも、自分一人になると、やっぱりダメで」
「そう? その録音のリズムをよーく覚えて、心の中で歌いながら、それに合わせて弾けば?」と言ってみるのですが、やっぱり一人になると甘えが出て・・・というか、弾けるところはどんどん走ってしまい、逆に難しいところやつっかえるところは 遅くなったり、いっぱい間が空いてしまったり・・・
「それじゃダメなのよ。いくら自分一人で、だれにも迷惑かけないといっても、甘えないで、テンポはちゃんとキープしないと。特にジャズはテンポが命だから」
そこで、まずは左手だけを徹底してきちんと弾けるようにレッスンしてみました。
クラシックや歌曲などは、どちらかというとメロディーが主役です。
ピアノを習っている人はわかると思いますが、常に先生から「右手のメロディーをはっきり弾きましょう」とか「左手は伴奏だから、音量は右手より控えて」とか「左手が強くならないように」とか言われていると思います。
ほとんどの場合、左手は「サブ」で「脇役」です。
主役より目立ってはいけないのです。
ところが、ジャズの場合、それとは逆。
リードをとるのは「ベース」つまり左手です。
コンボバンドなどの場合はまた違いますが、ピアノソロでジャズを弾く場合は、左手のベース、そして内声のバックリズムが演奏のリーダー的存在になって、曲のテンポやグルーブ感を率(ひき)いていき、右手のメロディーは、左手の流れに「乗せて」いくようなニュアンスになります。
極端に言えば、左手さえ完璧に弾けていれば、右手はフレキシブルでもいいのです。リズムとサイズさえ合っていれば。
考えてみたら、ジャズはクラシックとは反対のことばかりかも?!
・クラシック・・・まず右手から練習する。
ジャズ・・・まず左手から練習する。
・クラシック・・・右手をしっかり
ジャズ・・・左手をしっかり
・クラシック・・・楽譜を正確に再現する
ジャズ・・・楽譜どおりじゃなくていい
そんな、クラシックピアノとは真逆のことばかりのジャズですが、慣れればこんな楽しいジャンルはありません。
クラシックだけやってきた人も、たまにはカタい理屈を置いといて、自由なジャズに親しんでみてはどうでしょうね。
HP HIBARIピアノ教室
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