ヨモギで紙をつくってみましょう。ヨモギを材料にした紙づくりは初心者にぴったり。
成長して花が咲く頃になると,ヨモギのからだはずいぶんしっかりしています。背が高くなったものはとくに,茎の木質化が進んでいます。比較的背の低いものでも,手折ってみるとポキンという感じで折れます。こういう茎ははじめから紙材料の対象にせず,紙づくりに合った柔らかい部分を選び分けるようにします。
今回わたしが採集したのは,草刈りした後伸びてしばらく経ったヨモギです。茎はか細いほどに頼りない感じです。それでも,それなりにしっかりした繊維があって,からだを支えています。茎は茎でも,「成長の時期を選んで使え!」という原則に沿うことにします。
葉はそのまま使います。ヨモギの葉裏にはなかなか特徴のある繊維があります。それらは昔から“もぐさ”として利用されてきました。したがって,比較的丈夫な茎繊維と,細かな葉繊維がミックスした紙料が得られることになります。
煮るのは沸騰後1時間程度。アルカリを入れているので,ドロドロ状態になります。
それをふるいに移してきれいに水洗いします。そして簡単にミキサーにかけました。簡単というのは,時間にして10秒ぐらい。もう一度ふるいに入れ,水で洗ってあとに残ったものが紙料です。その紙料を水に溶いて,漉き枠に流し込みます。
あとは水切りをして,乾かすだけ。
こうしてヨモギ紙が完成しました。葉繊維が細かいので,手触りがつるつるした感じがします。