自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

サルビアの花紙!(続)

2015-09-12 | 野草紙

今季一回目のサルビア花紙はしおりの大きさで,しかも色がなんだか黒っぽいもので,もうすこしなんとかならないかと思っていました。それで,このほど二回目の試みをしました。

花は,我が家でプランター植えにしているサルビアから採取。花弁だけでなく,花を丸ごと使うことにしました。花はそんなにたくさん咲いているわけではないので,すでに地面に落ちている花も使いました。わずかな量なのですが,貴重な材料でもあります。


以前の話ですが,サルビアの花紙をつくったときはアルカリ剤として粉石けんを使用しました。近頃は粉石けんを使わず,もっぱら重曹を使用しています。その関係かもしれませんが,粉石けん使用時は花弁の赤色が残りました。前回つくった紙は黒に近いものです。アルカリ剤の成分の違い(粉石けんには数種の成分が含まれています),あるいは煮る時間の関係から,色の差が表れたのかもしれません。

それで,今回は短時間だけ,花弁の色変化を確認しながら煮ることにしました。

沸騰している湯の中に,花を入れ,そこに重曹を加えました。すると,色がどんどん変化し始めました。赤色だった花弁が見る見るうちに,紫色になりました。かすかに赤の名残りがあるかなあといった感じです。1分ほど煮て,煮熟を終了。


すぐに水で揉み洗いをしました。色は紫のままです。


これを紙料として漉き枠に流し込み,漉き上げました。薄い紙をつくりたかったので葉書よりいく分大きくしました。種が入っているので,おもしろい手触りになりそうです。


乾くにつれて,紫の色合いが薄くなっていくように思われました。出来上がった紙は,紫といわれるとそんな感じがする,赤いサルビアの花弁から漉いたといわれれば,ちょっとはそんな気がしないでもない,そんな風合いをしています。


サルビアの花は小さいのですが,割合きちんとした繊維があります。訪れる昆虫が脚をおけるだけの強度をつくり,送受粉がより確実に行われるように花のかたちを保つ役割を果たしているのでしょう。

肝心な色なのですが,やはり使ったアルカリ剤との相性としか思われません。まだサルビアは咲き続けていますので,次回,粉石けんで検証したいと思っています。 

 


トウガラシ紙!

2015-09-12 | 野草紙

トウガラシといっても,畑で栽培しているトウガラシのなかま(伏見トウガラシ,万願寺トウガラシ,鷹の爪など)各種の寄せ集め。ただ,食べ頃を過ぎて赤く熟したものばかりです。これらのごちゃ混ぜ紙づくりにチャレンジです。


ミニトマトでできるのですから,これだってできるはずです。ミニトマト紙で行った手順と同じようにしました。まず,アルカリ(炭酸水素ナトリウム)とともに煮込みます。煮ても,実の外皮は硬いので分解できません。皮と種子はそのままにしておきます。

実の中が柔らかくなった時点で,加熱を止めます。

あとは煮た実を水洗いしながら,揉みつぶしていきます。数秒間,ミキサーにかけて細かく砕いてもいいでしょう。これが紙料となります。


漉き方はこれまでのものと同じです。セルロース繊維の塊りだという感じはまるでしません。多くが非繊維質と思われますし,繊維質であっても半繊維状のものが大部分です。種子が入っていても取り除く必要はありません。


「こんなもので紙がつくれるのだろうか」。この段階ではそんなふしぎさが感じられるでしょう。でも大丈夫です。水切りを自然のままに任せ,乾かしていくうちに,紙状のシートになります。ふつうの感覚でとらえる紙といった感じはしませんが,厚みがあるものの,確かに紙のような塊りになります。せんべいのような紙とでもいってもよさそうです。


裏面は凹凸がはっきりしていますが,表面はそうでもありません。


それでもわたしは,「繊維質・非繊維質がごちゃ混ぜになっているけど,紙のなかまにはちがいないから,“トウガラシ紙!”」と呼びたいと思うのです。赤い,ごつごつした紙です。