河川敷で,野生化したキクイモの花を見かけました。なんとも鮮やかな花弁を見ていると,昆虫を誘う手として強烈にアピールしているように自ずと思えてきます。数日は枯れずに花に付いたままです。つまり,それだけの期間花弁が縮むことなく,持ちこたえる構造になっているのです。
「よし,ヒマワリの花弁で紙がつくれるのなら,これだって」と思い,さっそく採集することにしました。花弁を摘み取っていると,ミツバチが訪れていました。花弁は虫害にやられることもあるようで,食痕がありました。その食痕を見ると,花弁を支える脈が食べ残されていました。そこを避けて食べるのは,花脈がいくぶんは硬いことを物語っています。それなら,一層紙にできるのではないでしょうか。さっそくチャレンジ!
花弁はたくさん集まりました。
お湯が沸いてから花弁とアルカリ剤を入れ,時間にして1分程度煮ました。それ以上煮ると,花弁がドロドロ状になって紙料は得られません。花弁は繊維そのものが弱いので,紙にするには,セルロース繊維も非繊維質も混在したかたちで紙料としなければならないのです。
煮終わると,手で揉み荒いするだけです。ミキサーを使う必要はありません。
それを溜め漉きで漉き,湿紙にします。
乾燥して,キクイモの花弁紙が完成しました。色合いは花弁に近いものです。
ルーペで表面を観察すると,繊維がたくさん見えます。花弁の平行脈も残っています。「ほほーっ!」の世界の広がりです。