今,ヒガンバナの花の真っ盛り。新聞紙上の一面にも,その風景が取り上げられています。彼岸にぴったり!
これまで,ヒガンバナの茎から紙をつくることはありましたが,それらはすべて花を取り除いたあとの花茎を材料としたものでした。しかし,「花だけから紙をつくれるだろうか」と考えることはありませんでした。今の関心からいえば,とことんいろんな部分を紙料にしてみたいのです。それで,ヒガンバナについても花で試したくなりました。
これなら,今の時期いくらでも採集できます。土手に行って,たくさん集めました。
煮た時間は沸騰してから20分間。花の色が変わり,柔らかくなっているのがわかります。箸で取り出してつまんでみると確認できます。
それを篩に移して,水道水を流しながら揉み洗いします。廃液に色が付かなくなったら終了。
花のねもと,つまり子房の周りが丸みをもって残ったままになりますが,そのままにしておきます。ミキサーにかけるなどして潰す必要はありません。こうしてできたものが紙料になります。
あとは溜め漉きの手順にしたがって漉いていきます。表面がでこぼこしていても気にしません。ただ,紙料をたくさん使うと今の時期,乾くのが遅くなります。秋晴れが続くようであれば,多めでもいいでしょう。完全に乾くのに,3日程度はかかります。はじめは日なたで,一気に水切りをしながら乾かします。
やがて全体が乾いてきたら,風通しのよい日陰でゆっくり乾かします。
花紙は,子房から出た繊維が平行に並んでいたり,おしべ先の葯が細かく散らばっていたり。独特の味わいがあります(下写真。背景の格子はステンレス網)。
見ようによっては,紙色である濃い褐色がヒガンバナ特有の個性を主張しているようでもあります。