庭園の草引きをしていて,見つけたのがヤマトシジミの卵2個,そして茎に付いた蛹。間もなく活動期が終わる頃なので,きちんと孵化を見届けようと思い,コップに茎を挿して観察していました。
結果。一つについては,わずかに確認が遅れて撮影できずに終わりました。残念! 残りは一つ。「今度こそは」と思い,慎重に見て行くことにしました。
しごとが休みの日のことです。卵の一部に薄っすらと黒っぽい色が現れてきました。これは頭部です。まちがいなく孵化が近づいている証拠。「見逃せないな」と思い,ルーペで度々観察を続けました。なにしろ,卵の直径が0.5mm足らず。観察には,よほどの注意深さが必要となります。
この個体もそう。まだ大丈夫だろうと思っていたら,次に見ると,もう卵の天井が開けられ始めていたのです。びっくりして,大慌てで撮影準備に取りかかりました。
天井の蓋が開けられて,いよいよ誕生の瞬間です。
ゆっくりゆっくり出てきました。上半身を出した格好です。
からだが完全に出ました。しかし,脚を葉に着地させる様子はありません。
このあと,幼虫はからだの向きを変えて殻を食べ始めました。食べ始めると,意外に熱心な食べ方に見えました。口が動くのが観察できたほどです。これまでの観察例では,まったく殻を食べずに離れていく幼虫もありました。
食べるといっても,それほどの執着心はなさそう。完全に平らげるわけでもなく,あっさり途中でやめました。そして,初めて葉に着地。しばらく休んだあと,去って行きました。
こうして,あたらしいいのちが誕生しました。
何度見ても,いのちの物語には感動が伴います。