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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(39) 

2016-12-05 | 随想

大きなまちのミュージアム,それも公費をしっかり確保できる施設は,設立理念に見合った運営はそうむずかしくないはず。ただ知恵をはたらかせ続ける苦労は尽きないでしょうが。わたしたちから見れば,それはもったいないような話です。地方都市の,それも小さな自治体が運営するミュージアムなどはなかなかそうはいきません。

経費を極力切り詰め,できる限りの創意工夫を凝らして魅力を発信し,来館者増を図らなくてはならない現実があります。創意工夫には,ミュージアムの特性を生かし,常に斬新な運営であることが求められます。従来とほとんど変わらない内容であるとか,どこかのなにかまねごとであるといった,安易な手は禁物です。安易さはすぐに中身を干からびさせてしまいます。

4月以来そうした壁を感じながら,「では,どうすればいいか」と思い続けてきました。

ミュージアムづくりに込めるわたしの願いの1つに,コミュニティとのつながりを骨太なものにするという点があります。コミュニティとの接点の弱いミュージアムは,「税金の無駄遣い施設」といわれても止むを得ないでしょう。わたしは,むしろ新しいコミュニティづくりの拠点にならなくてはならないと考えています。経費をかけず,それに寄与できる施設になるにはなにをすればよいか,そこが思案のしどころです。

その思いから始めたのが,今夏の「プラネタおはなし会」でした。同じように,施設特性であるプラネタリウム(30人収容)を活用したコンサートができないか,できるとすればどんな方策が考えられるか,ずっと思っていました。入館料をいただく施設でのコンサートには,必要に応じて著作権料の支払いが求められます。その問題を解決しつつ,できるだけ多くの方に来ていただける妙案は? さて。

この企画にいちばんに手を挙げていただいたのが,地元の合唱グループの皆さん。楽器はキーボードのみ。閉館後に無料のコンサートとして実施する企画にまとまりました。それも土曜日の夜間利用です。平日では出演がむずかしいでしょうし,コンサートめあての来館者数も多くは期待できません。

企画したコンサートは,名付けて『プラネタコンサート』。星を投影しながら演奏活動をするのです。演奏時間は30分。1回目なので,『第1回 プラネタコンサート』です。わたしたちのPRはミュージアム通信とポスターで。出演者のPRは家族や知人に対して。

本番を12月3日(土)に設定して,11月中に一度リハーサルをしていただきました。うれしいことに,会場についての皆さんの評価は上々。

さて本番当日を迎えました。開演は午後7時。気がかりだった観客は30名。出演者は14人。プラネタドームにはぴったりの人数です。はじめにわたしがコンサートの趣旨,つまり新しい文化づくり,コミュニティづくりのお役に立ちたいという点について簡単にふれました。それに続いて公演が始まりました。曲は『小さな空』,『Pie Jesu』(独唱),『COSMOS』,『いのちの歌』の4つ。それぞれについてナレーションがあり,途中から星空が投影されるなかで曲が流れていきました。


やさしい歌声,響くこころ,そんな温かみを感じる30分になったように思います。手前味噌ながら大成功とみました。皆さんの感想もばっちり。「やってよかった!」という気持ちになれました。正直,ホッとしたのでした。

コンサートはこれからも続きます。記念すべき初回になりました。コンサートをこのドームでやってみたいと思われる方がありましたら,ご遠慮なくご連絡ください。

この後,大型反射望遠鏡で夜空のスターウォッチングの案内をさせていただきました。星団や星雲などを含んで,たくさんの星々を見ながら,皆さんの雰囲気は盛り上がっていました。すてきなひとときでした。