12月。雑木林にて。
落葉広葉樹が葉を落とし,林についたわずかな小径にうず高く積もっています。枯れ葉を踏む音が かさかさ心地よい音をたてます。前日の雨で濡れたままの葉が木漏れ日を浴びて光ります。その下では腐った葉が腐葉土につくり変えられています。硬い地表とちがってふわふわ。じわっと足が表面に食い込むといった感触があります。
倒木が菌やキノコの力で土に戻されていきます。
木の幹で妙なガを見かけました。褐色のからだに,白い脚や胴が際立っています。胴の背中に付いた棘状突起が,とにかくスゴイのです。「今頃ガがいるなんて。どうか逃げないで」と思いながら撮影。
虫の目レンズで見ると……。
しかし,ちっとも動く気配がありません。
「おかしいな」。そう思いながら,接写して初めてわかりました。このガは,なぜかこの姿のまま死んでいたのです。日が経つうちにカビか白色腐朽菌が生えて,今の姿になったのでしょう。白いカビが脚やら触覚やらをすっぽり覆っています。
脚の付け根付近を見ると,完全に固まっています。
びっくり風景です。木も葉も,そして昆虫も,こうして土に還っていきます。自然林ではいのちの循環がくっきり見えます。たまには入って観察するのもいいものです。