自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

イチリンソウと昆虫

2017-06-08 | 昆虫と花

ずっと前の観察例を一つ。イチリンソウの話です。林間でイチリンソウの可憐な花を見ていくうちに,ごく小さな昆虫を発見。アブラムシのなかまです。

 

 

「目を引く花があれば,きっと昆虫が来ているはず」という期待感を抱きながら虫を探しているうちに,目にとまったというだけの話です。花は花として愛でつつも,観察対象としては昆虫・花のセットで考えているわたしのスタンスの結果です。アブラムシは送受粉を直接仲立ちする昆虫ではありませんが,ごちそうである花汁を吸うためにここにやって来ているのです。そうなら,他の昆虫が来るのは必然。

花壇の花にしても,野山は花々にしても,わたしはいつもそこにどんな昆虫が来ているか関心を持って見ていきます。チューリップもパンジーも。ホシノヒトミだってセンブリだって。

可憐な花,優美に咲き誇る花,目立たない花,それらどの花もじつは当たり前なのですが自分自身のために咲いています。つまり,繁殖するための生殖器官として存在するわけです。

わたしたちの目にとまるような花は虫の目にもとまります。虫の目にとまるようにアピールしているのは虫に来てほしいからです。虫に来てもらうための工夫は花それぞれです。どんな虫に来てほしいか,それも花の設計図には織り込み済みです。

そうした,いわば花と昆虫との関係性を感じながら,というか,意識しながら自然を見つめるのがわたしの観察スタイル。

「おーっ! やっぱり!」。蕊にこんなふうに脚を載せると,花粉が付着して当たり前。たくさんの蕊の存在が功を奏しているのです。

 

イチリンソウのように,静かな雰囲気の中で咲く花にも昆虫が確かに訪れるという事実。この事実を目の当たりにすると,「やっぱりな」と納得できます。この納得こそが観察の魅力であり醍醐味でもあります。 

 


モンキチョウ,産卵から孵化へ(2)

2017-06-08 | 昆虫

モンキチョウの産卵行動を見ていると,産卵しそうだなと思って後を追いかけていくとちゃんとそのとおりになります。幼虫の食草シロツメクサやミヤコグサは背丈が低いので,その辺りを低空飛翔します。葉のすれすれをゆっくり飛んでいるうちに葉に降り立ちます。ときには花に降りて蜜を吸うこともありますが,それが終わると産卵行動に入ります。 

 

花を付けていない食草に降りたら,まちがいなく産卵に移ります。

 

腹端を曲げて葉裏に近づけます。それが終わると,舞い上がって次に産卵に移ります。卵を採集するなら,飛び去ったあとそっと近づいて茎を根元から採ります。

 

数日後,その時に採取した卵の一つが孵りました。孵化直後に大慌てでコンデジで撮ったのが下の写真。顕微鏡モードでの撮影です。からだの一部がまだ卵の中にあります。出終わっていなくてよかったー!

 

もっとアップして撮りました。しかし,これ以上となると被写界深度と光量との関係でこのカメラでは鮮明に撮ることは無理。これが限界です。幼虫は誕生後すぐに卵殻を食べ始めました。

 

誕生の瞬間を撮るには,それだけの事前準備が要ります。いつもタイミングの難しさを痛感します。